イギリス海岸 [青空文庫]

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  • 青空文庫
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  • 私は、以前、宮沢賢治の作品を読んだことがあり、ちょっと題名が面白そうだと思い、気になって手に取り読んでみました。
    初め、この本に興味を持った時は、イギリス海岸という名前で、イギリスでのお話なのかな?もし、イギリスでのお話だとしたらどんなことが書かれているんだろう。そして、イギリスでのお話だったら面白そうだなと思い、少しずつですが読み始めることにしました。
    しかし、この本は、宮沢賢治自身が岩手県出身ということもあり舞台は岩手県花巻市にある北上川海岸でした。本当のイギリスでのお話ではなく、イギリスのドーバー海峡の白亜の海岸を連想させる泥岩層が露出することにちなんで、宮沢賢治がイギリス海岸と名付けた場所です。作品「イギリス海岸」の中で「全くもうイギリスあたりの白亜の海岸を歩いてゐるやうな気がするのでした。」と記していて、宮沢賢治にとっての憧れからこの名を付けたといわれています。 また、当時、農学校の先生をしていた宮沢賢治とその生徒により呼ばれていた名称です。また、国の名勝のでもある、「イーハトーブの風景地」の一つとされています。しかし、現在は北上川水系のダム整備による河川管理が進んでしまい、なかなか水位が下がらなくなってしまったため、宮沢賢治が見ていたような川床はほとんど見られません、また、泥岩層を見ることが難しくなっている状況です。しかし、毎年、宮沢賢治の命日である9月21日には、関係各所の協力で、5つのダムや猿ケ石発電所の水量を調整して、川の水位を下げる試みをしています、そして「イギリス海岸」と調べてみると現在のイギリス海岸をライブ配信しているサイトもありました。
    また、このイギリス海岸の近くのバス停留所のある道路は以前、宮沢賢治の「銀河鉄道」のモデルになった岩手軽便鉄道が走っていたと言われています。
    このお話を簡単にいうと、この「イギリス海岸」でのお話は、は石や地質に興味があった宮沢賢治と農学校の生徒たちの実話のお話です。そして、とある日いつもの実習の時間に見つけた足跡の化石に夢中になり、採取を試みるお話です。
    この本のお話は、実習の話だけではなく岩手県の自然やのんびりとした田舎の時の流れを感じることができるお話でした。読んでいてどこか心地が良く、面白いお話でした。いつか、もし機会があれば、このイギリス海岸のもとにとなった岩手県花巻市にある北上川海岸を訪れてみたいと思いました。

  • 「イギリス海岸」、それは本当の海ではなく、岩手県花巻市にある北上川の岸。 当時農学校の先生をしていた賢治と、その生徒たちが呼んでいたあだ名であり、彼らにとって大切で特別な場所。
    賢治は幼少期に、「石っこ賢さん」と呼ばれるほど、石や地質に興味があった。そして、農学校で教師をしながら、詩や童話のたくさんの作品を書き上げてきた。この作品は、そんな賢治と生徒たちとの農場実習での体験の話であり、空想を含まない実話が書き記されたものである。普段通りに実習をしていたが、ある日、一人の生徒が岸で足跡を見つけた。彼らは夢中になって足跡の化石の採収を試みるのである。実習の話のみでなく、イギリス海岸に広がる賢治の愛した自然と、花巻のありのままの姿が描かれている暖かい作品。わくわくする生徒たちの様子と、ゆったりとした田舎の時間の流れがどこか心地いい。

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著者プロフィール

1896年岩手県花巻市に生まれる。盛岡高等農林学校農芸化学科卒業。10代の頃から短歌を書き始め、 多くの詩や童話の作品を残した。 生前に、心象スケッチ『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を刊行。 また、羅須地人協会設立し、農民の生活の向上のために尽くしたが、1933年急性肺炎のため37歳で永眠。

「2021年 『宮沢賢治童話集 注文の多い料理店・セロひきのゴーシュなど』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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