雄志さんの感想
2018年12月9日
姉妹は自分が降り注いでいたものが全部に行きわたっていないことを知る。全ての幸せを願った妹は、現実を知り絶望する。全ての破滅を願った姉は、現実を知ってもなお終わりのない作業を続ける。一見元気そうに見えて、実は繊細だったり、逆に悪そうなやつだけど、健気だったり。どこまでも対照的な姉妹だなと思った。 結末はハッピーエンドに見えないけど、健気に苦しみを振りまいているから今があるんだろうなとも思えてくる。1度は苦しみを味わえ―と苦しみを振りまいているんだから、2回はないだろうとか。
(著) 新潟県上越市生まれ。小説家・童話作家。1882年旧高田藩士の家に生まれ、東京専門学校(早稲田大学)文学部在学中に坪内逍遥に師事。卒業後は小説を執筆するかたわら童話を意欲的に発表し、「赤いろうそくと人魚」(1921)、「野ばら」、「ねむい町」など多くの童話を発表。「日本近代童話の父」として現在も読み継がれる。1961年に死去するまでにおよそ1200編にのぼる童話を残した。 「2022年 『小川未明童話集 赤いろうそくと人魚・野ばらなど』 で使われていた紹介文から引用しています。」