京都の朝市 [青空文庫]

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  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  • 今すぐにでも京都の市に行きたくなってしまった。
    しかも、可能であるならこの文章が書かれた時代である昭和初期の市に行きたいと思わずにはいられない。

    以下抜粋

    「大体こういう朝市には、何も名のある立派なものは出てこない。だから評判などに便《たよ》ってものを見る要もない。こういう所こそ、誰もに自由な選択を求めているのである。ここが大いに魅力のある所であろう。こんな場所では知識などは余り役に立たぬ。それだけに直観が遠慮なく活躍せねばならぬ。之が働くと、物の方でも悦んで近寄ってくるのである。」


    「こういう市は、とりすました骨董商の店などとは凡そ違って、訪ねる方も気楽だし、又選択も自在だし、値らしい値もないこととて、掘出しの興味が甚だ多い。ここが一つの魅力で、実際何が現れるか見当もつかぬ。だからここでは誰もの眼が主人で、何ものにも掣肘を受けぬ。未踏の猟場の如きもので、相場以前の世界なのである。こういう世界こそ私のような者には、何にも増して有難いのである。有名でないもので、いとも素晴らしいものが、勿体もつけず平気で現れてくるからである。」

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著者プロフィール

柳宗悦(やなぎ・むねよし):1889-1961年。学習院高等科在学中に雑誌「白樺」創刊に参加。主に美術の分野を担当した。東京帝国大学哲学科を卒業後は宗教哲学者として活躍。濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチ、富本憲吉らと出会い、「民藝」という新しい美の概念を打ちたてた。眼の人として知られるが、柳のまなざしは、物の美しさだけではなく、物を生み出した人や社会にたえず注がれていた。

「2023年 『新編 民藝四十年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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