宮本武蔵 02 地の巻 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 3
  • 青空文庫 ・電子書籍

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  • 姫路城の一角に蟄居され、厖大な書物を読み、悟っていく武蔵。全て達観して、サポートする沢庵。恋い焦がれ、追うお通。これからの展開にワクワクする。

  • 沢庵さんに惚れた!

  • 押しも押されもせぬ剣戟ヒーローみんな大好き宮本武蔵が片田舎の小僧から身を立て名を成していく物語。この巻ではまだ『宮本武蔵』ではなく、宮本村の武蔵(たけぞう)という少年。播州赤松家の流れを汲む新免無二斎の息子であり、滅法腕は立つが若くて馬鹿なので後先を一切考えていない。
    そんな武蔵、友達を誘って関が原の合戦に馳せ参じたはいいが、小早川の裏切りによって敗残兵となり、冒頭から友と二人半死半生で戦場を彷徨う。幸い戦場近くの母子に助けられ、暫くの間居候として暮らし、娘の朱実と親しくなったり、横暴に迫ってくる山賊を切り伏せたりと活躍する。だが未亡人のお甲に迫られて断ったので嫌われ、故郷に戻る為の出立の朝、置いてけぼりを喰らう。友達の又八は母子と共に行方を晦まし、武蔵は仕方なく一人で宮本村へ帰る。その途上で関所を破ったり役人を斬ったりした為、お尋ね者になってしまう武蔵。姫路からの追っ手は故郷の村にも及び、姉のお吟は捕まるし又八の母からは恨まれるしでブチ切れた武蔵は、ここでも追っ手を殺しまくる。一方又八の許婚お通のもとには、余所で上手く生きてるからこっちのことは忘れてくれという便りが、又八とお甲の二人から届く。ただでさえ天涯孤独の身の上だったところへ、頼みにしていた許婚の裏切りを知って絶望するお通。身を寄せている寺の食客沢庵の存在を光明とし、彼とともに武蔵を捕らえることに成功するが、その後の処遇に納得が行かず、武蔵を助け出して共に逃げる。又八の母は親戚の者と共にその後を追い、家名に泥を塗った嫁と、息子の仇である武蔵を亡き者にせんと誓う。
    国境を越えて落ち延びた武蔵は、渋るお通を説得して、姉が捕らえられているという牢へと向かうが、そこには既に姉はいなかった。またしても無駄に暴れただけに終わった武蔵は、お通と再会を約束した橋へ行くが、その頃彼女は病に倒れたり又八の母から逃げたりしていた為、武蔵を待っていることは出来なかった。代わりに現れたのは沢庵で、彼は武蔵を姫路城へ連れて行き、池田輝政に引き合わせる。沢庵の勧めや、ルーツが赤松家にあることもあって輝政に気に入られた武蔵は、その後三年を城内で暮らすことになる。
    三年後、書物を読み精神の鍛錬を果たした武蔵は人が変わったようになり、これを機に新しく生き直そうと、名を宮本武蔵と改める。輝政が奉公を勧めるのを丁重に断った武蔵は、剣に生きる為修行の旅に出る。自分もまた行雲流水の旅に出ると言う沢庵と別れた矢先、武蔵を呼び止めたのはお通だった。そこは再会の約束をした橋の袂で、お通は危ないところを沢庵に救われ、橋の近くの土産物屋で働きながら、武蔵に会える日を待っていた。どうしても共に行くと言うお通に押し切られそうになる武蔵だったが、剣の誓いの為姉への思慕すら断ち切った彼に、お通と共に行く道は無かった。武蔵はお通が旅支度を調えに行く間に、橋の欄干に伝言を彫り付けて姿を消す。お通が橋の袂に戻ってみると、そこには、ゆるしてたもれ、という言葉があるばかりであった。

    といったようなわけで、後の宮本武蔵である。私は特に武蔵のファンじゃないので、彼のことは殆どノーチェックだったが、退屈せず読めた。
    武蔵は若くて馬鹿だが正義感に溢れ義理堅く、帰ってこなくてもいいのに村に帰って散々な目に遭っている。自分で決めて行動したことは無駄に終わり、他人により動いた先では裏切られる。結構かわいそうな子なのだが、単細胞なので仕方がないとも言える。そんな武蔵がいっぱしの人間になるためのキーパーソンが沢庵で、言うこともやることもイケメン過ぎてどっちが主人公やら。
    ラスト近く、武蔵がお通に会ってしまって揺れるところは笑ったが、沢庵謀りよったと思うと更に可笑しい。そして逃げる武蔵。大事なことなので二度言った、で次巻に続く。こりゃあかん。

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著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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