沢庵出てない。以上。
ではなくて。
お甲のところから逃げ出したはいいが、慣れない土木仕事で半死半生の又八から話はスタート。死に掛けているところへ武者修行の男が現れて、佐々木小次郎っぽい雰囲気を見せるが別人。その男はすぐ殺され、今際の際の願いを聞く為、又八は彼の荷物を持って出立する。彷徨った先で会った独り言の多い虚無僧は佐々木小次郎ではなく、地の巻でセクハラが災いして零落した青木。ちなみに息子の城太郎はセクハラ相手のお通と共に旅上にある。
他人の名を騙ったり、他人の金を騙し取られたりとろくでもない又八は、偶然母のお杉と再会、一瞬親孝行するも、ウザイのですぐまた別れる。その後又八とは全く関係なく朱実が酷い目に遭い、世を儚んだ彼女を助けようとした権叔父が客死。元をただせば何もかも武蔵が悪いと、お杉は理不尽な復讐心を新たにする。
一方やっと登場した佐々木小次郎は、若衆髷の生意気な美青年。小猿をペットに連れ、傍若無人に振舞ううち奇妙な縁で吉岡清十郎と仲良くなる。でその吉岡、年末の借金取りに追われながらも年明けには武蔵と果たし合わなければならないし、朱実のことも気になって情緒不安定。そこそこ強い筈なのだが、金目当ての門下生に担がれているだけなのかも知れず実際はどうだか分からない。少なくともメンタルはかなり弱い。果たし合いの際もいざとなったら佐々木を頼ろうと思うも、佐々木は偶然から助けた朱実を連れどっかに行ってしまう。その朱実は、吉岡に凌辱された後入水して死のうとしたところを権叔父に助けられ(権叔父死亡)、又八を騙した赤壁に襲われかけたところを青木に助けられ(後に赤壁死亡)、更に吉岡の猟犬に咬まれてピンチなところを佐々木に助けられるという(犬死亡)、ここまで来ると笑うしかないような境涯。そんな具合にあれこれ勃発している中、肝心の主人公はどうしているかというと、足の怪我が化膿して酷くなっているというのに山に登って納得したり、鎖鎌の達人に会いに行ったら過去の因縁のせいで危うく殺されかけたり、何か人恋しくなって親戚の家に行ってみたら冷たくされた上にお杉と鉢合わせそうになったりとこっちも忙しい。でも餅5個貰って喰ったら元気。そこへ武蔵を追ってきたお杉が、やれ仇のそれ討たれろのと大騒ぎ。又八と約束した(と思っている)五条大橋まで連れて行って川べりの舟に押し込み、息子が来るから待てと言い置く。だが又八は来ず、姿を見せたのは別に約束もしてないし顔を覚えてすらいない朱実だった。思い込みの激しい上に酷い目に遭い続けで精神状態が揺らいでいる朱実、あんた誰みたいな態度を取られて大ショック。武蔵は済んでのところで思い出すも、又八どうしたとしか聞かない。城太郎が朱実に頼んだ伝言は、又八が既に出て行った後だったので伝わっていなかった。落胆する武蔵。そんなことよりちょっと聞いてよとばかり、朱実は辛い体験と境遇を打ち明ける。しかし全然聞いてない武蔵。彼の視線の先には、朱実を尾行してきた佐々木小次郎の姿があった。何だか目と目で通じ合う二人。朱実空気。更にそんな人々を余所から見ている城太郎。早く武蔵に会いに行こうとお通をせかすが、恋しい男が知らない女と一緒にいるのを見てこっちも大ショック。又八は来ないし、吉岡が立てて行った果し合いの概要の高札も見たしで用が済んだ武蔵は、小次郎を指してあの若衆と知り合いかと朱実に尋ねる。朱実はあの人とは何でもないと弁解に必死だが、そんな事どうでもいい武蔵は、一緒にいる人なら一緒に帰れ、いずれ会いに行くからと、逗留先を聞き出す。武蔵としては無論小次郎に会いに行くつもりだが、朱実は自分に会いに来てくれるのかと勘違いしている。そんなことも気付かないまま朱実と別れ、又八は来ないことをお杉に告げた武蔵は、ひょいひょいっと河を渡って去ってしまう。朱実がいなくなって、やっと武蔵に会う気になったお通は彼の後を追うが、間が悪くお杉と鉢合わせする。逃げようとするお通だが、お杉は城太郎を利用してお通を丸め込み、二人は共に又八を探すことになる。新春の五条大橋は、吉岡の立てた高札のために武蔵の噂で持ちきりで、3人は立ち竦んだまま高札を見つめるのだった。
あらすじをまとめるだけでも息切れしそうな第三巻。もりあがってまいりました。相変わらずえらい目に遭い続けの武蔵だが、自業自得な面もあるし本人が望んでしていることでもあるのでいいとして、不幸なのは朱実だろう。でもちっとも同情できないのは、思い込みの激しさのためか。この女無理だわーと思ってしまう。だからってお通がいいかと言えばそうではなくて、この女も無理。デモデモダッテでウザイ。二人とも思い込み激しすぎ。武蔵はお通を思い出してもやもやしたりしてるので、実は両想いと言ってもいいのかもしれないが、何しろ武蔵がそっちの面で漠然としすぎていて、ちっとも話が進まない。どころか始まりもしていない。その上自分にあからさまな好意を向けてきている女がいるというのに、話すら聞いていない。この辺はいっそ笑える。おまけにライバル佐々木小次郎との邂逅で、男女の機微など更に遠のくことは必至。その件辺りで興味があるとすれば、いつ武蔵が童貞じゃなくなるかくらいか。武者修行の方は事件もありつつやっと吉岡と果し合い。この吉岡がまあド最低で、朱実に同情はしてないがこいつはボロボロになればいい。
三角関係、因縁の対決、終生のライバルとの邂逅、行方不明の友人、その母との確執、自分が零落させた男の息子、遥か高みにいる人達、その高みから降りて来る謎の宇宙j
月9ドラマもかくやのジェットコースター展開ながら、肝心の沢庵マダー?で次巻に続く。こりゃあかん。