三国志 09 図南の巻 [青空文庫]

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  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  • いよいよ曹操は増長の度合いを強め、それを諫めようとした荀彧、荀脩らの良臣が自ら命を絶ったり、首斬られたりするようになる。こうなってくると、周りはイエスマンで囲まれ、その威を借りるものたちがまとわりついてくるようになり、やがて腐敗し始めるのだろう、魏にもその兆候が見え隠れするようになる。
    一方、劉備は落鳳坡にて伏龍・鳳雛の片割れである龐統を失う。龐統は物語の中ではほとんどその叡智を見せることなく、また孔明の知力をねたんでその指示の裏を行って命を落とすというなんとも情けない幕切れで、徐庶よりも印象が薄い。もっと活躍の場を作って欲しかったというのは一ファンのねたみだろうか。
    劉備はやがて漢中も併呑し、曹操が魏王を名乗ったことに対抗して漢中王に上り詰める。これによってまさに魏・呉・蜀の三国が鼎立するが、いささか蜀は建国が遅きに失した感があり、やがて初期からの英雄たちが続々と舞台から退場していくことになる。

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著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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