三国志 10 出師の巻 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  • 物語はいよいよ黄昏の感をましてゆく。
    関羽が散り、張飛が往き、黄忠を失い、やがて元徳も没した。元徳亡き後、諸葛亮は馬超、趙雲、魏延らを率いて蜀の興隆をはかろうとする。一方、魏においても曹操がなくなり、時代は新しい世の中に変わっていく。
    世の中に生を受けたものは必ず死んでいくのは当然のことなのに、これまで散々生き生きと物語の中で縦横無尽に駆け巡っていたきら星のような武将たちが、一人また一人と天に召されていく寂寥に駆られる。
    一方で、孔明はもはや神に近いほどの天才性を見せ、南蛮攻略を実施する。このくだり、時代背景かはたまたシナ伝統の中華主義のなすわざか、南蛮王・孟獲をふくめ、南の地にある人々の民意や文化をいやしくもおとしめ、まるでシナに属さなければ生きる価値すらないかのような記述もみられる。はては、当然のごとく「猿」と呼ばわり、さげすんでいるあたりは現代の感覚からすると受け入れがたい思いを抱かせる。
    とは言いながらも、その物語自体はやはり非常に面白く、ついページを繰る手を休めることなく読みふけってしまう魔力がある。

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著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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