夜に就て [青空文庫]

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  • 青空文庫
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  • この本は2つの話があり、主人公の「僕」の知人のゴンゴンという人が、夢の中に入り込んで体験した不思議な経験、つまり彼の夢物語について語る話と、また、ゴンゴンという人を失ってからの自分の周りのひとつひとつの体験について詩を交えながら自分の考えを語る話である。
    普段私たちが生活しながらごく当たり前に起き、考えもしない様なことを、論理立てて考えた彼の解釈が書かれており、作者の感性が伺える本である。例えば、本のあらすじのひとつをあげると、闇とロウソクについて、夜が暗いものだと思うから、ロウソクの明るさが安らぎに感じてしまい、それは夜を暗くみじめなものだとしたいからだという彼の解釈が書かれている。
    この本の作者、立原道造は、元々ソネット詩という形式の詩を書く詩人であったが、高い才能を買われ、物語も依頼され投稿するようになった。この本は、彼が21歳の時に書かれている。しかし、生涯は短く、24歳の若さで肺尖カタルによって亡くなっている。生きていれば天才的な感性でもっと多くの作品を生み出せたであろう惜しまれる作家のデビュー前の作品をぜひ読んで欲しい。

  •  最初のゴンゴンのところは笑ってしまうくらい楽しいものだったのに、失ってからの闇・暗さが対照的すぎる(それがいい効果をもたらしている)。ゴンゴンの世界から書き手の心象世界へ、もろくも優しい世界。

  • まず、タイトルは「夜に就て」と言い、「ついて」と読む。作者である、立原道造は24歳という若さでなくなってしまった。彼は、美感に優れており、作品中の詩と共には、青春という儚さや痛み、美しさを感じる。この本は、「夜」についての話である。主人公は、ゴンゴンという夢の中に忍び込むことができるなんとも不思議な男である。
    最初は、ゴンゴンの夢物語、後半は、ゴンゴンがいなくなった後の夜についての話である。
    恋バナが嫌いな人はたくさんいないだろう。タイトルの無難な感じとは少し考えられないくらい、読めば読むほど純粋な恋バナなので、一度読んでみてほしい。この作品の中でよく出てくる「少女」というのが、この作品のヒロインになるのだろう。作者の作り出した空想の恋人は、空想の恋人なので、どんなに求めても叶わない恋のようだ。特に、夜になると暗闇が筆者を襲い、切ない気持ちにさせてしまう。少し病んでいるようにも感じるが、筆者が持つ純粋で淡い恋心や、人間の生について考えさせられるなんだか意味深な内容である。

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著者プロフィール

立原道造(1914~1939)…昭和初期に活躍した建築家、詩人。東京帝国大学工学部建築学科卒業。辰野賞3年連続受賞のほか、中原中也賞を受賞するなど、建築と詩作の双方で才を発揮するが、結核のため24歳で没した。主な作品集は『萱草に寄す』『暁と夕の詩』『優しき歌 I』『優しき歌 II』。

「2019年 『四つのソネット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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