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感想・レビュー・書評
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邦訳は庄野健氏。
序2、ヴィクトル・ユゴーへの献辞、詩52篇、断篇13篇で構成される作品のうち、「オンディーヌ」「絞首台」「スカルボ」「錬金術師」「雨」を訳したもの。このうち、「錬金術師」「雨」を除いた3つの詩にインスパイアされたのが、モーリス・ラヴェルの同名のピアノ組曲「夜のガスパール」。
ラヴェルがこの詩集にインスパイアされたのと同じく、それぞれの詩が、他の文学作品にインスパイアされて創作され、構成されている。ヨーロッパ文学に登場する浪漫の美しさとあやかしのグロテスクさ、残酷さのイメージをすごく華麗に切り取った作品集。タイトルを含めて、幻想のクリップとしてセンスが抜群だと思う。漱石の『夢十夜』を読んだときと同じような、夜の暗さ、深さを感じて、思わずぞくっとする。
ただ、この抄訳だけではあっという間に読み終わってしまうので、お時間があるかたは、全訳とはいかないまでも、もう少し増量した形で読まれたほうが、この作品のきらめきや薄暗さといったものをほんとうに楽しめるのではないかと思う。とはいっても、この抄訳には原文もつけられているので、美味しいところだけのつまみ読み+仏語学習、おまけにラヴェルの組曲をお聞きになるときのガイドとして、適当なボリュームといえるのではないかと。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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