わかれ道 [青空文庫]

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  • 青空文庫
  • 旧字旧仮名
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    あらすじ
    キチは街で噂の美人のおキョウさんの家に入浸っている。夫婦というわけでもないのに夜中にづかづかあがりこんで餅を勝手に焼いて食べても憎まれ口を叩かれるだけ。傍から見ると、いちゃつきたい盛りの幸せそうなカップル。そんな人生の絶頂期にある二人に分かれ道が差しかかっている。キチは煮え切らない男だ。親がないから自分を拾ってくれた傘屋で死ぬまで肩身の狭い思いをして働くしかないと15歳にして人生を諦めている。キチにとっての人生は傘屋の同僚と喧嘩をすることと、不幸な生い立ちをおキョウさんに同情してもらうだけのこと。おキョウさんとしては女としてじゃなくて母親として甘える相手がほしいと言われたり、前に甘えてた女への愚痴を聞かされたりなんてすると、好きな男の価値がその程度に過ぎない自分がみすぼらしく思えて意地も湧いてくる。ダメ押しで、あーだこーだ言ってないで自分で人生を切り開きなさいよと甘い口調で叱咤してみるのだけど、キチときたらちょっと追い詰めるとどうせ俺は捨て子だから永久に負け組なんだとヘコむのだから埒があかない。おキョウさんだって人生やってられない気持ちは同じだし、本当はわかってもらいたい気持ちだってある。もううんざり、だけど最後に賭けにでてみることにする。これでダメなら結局は縁がなかったと踏ん切れるし、結婚適齢期を過ぎた女としての自分の人生もその程度だったんだと諦めがつく。もし賭けに負けても、そりゃぁもう華々しく、なんていい女を失ったんだと後で煩悶してもし切れないほど後悔させてやらなければ。純朴なキチはまんまとおキョウさんの罠というか、狂気というか、突拍子のない決断に翻弄され、動揺する。当然ながらキチの人間不信は最高潮に達し、親にぶつけられなかったすべての愛憎をおキョウに傾け、天涯孤独の可哀想な自分に酔いしれようとする。おキョウは当時の女性の女の武器の使えるものすべてを投入してキチの自尊心をまさぐる。キチは口では拒絶しているが…

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著者プロフィール

樋口一葉

一八七二(明治五)年東京生まれ。半井桃水に師事し、生活苦のなか「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」などの作品を発表。文壇から高い評価を得るが、肺結核にて九六(明治二九年)没。

「2020年 『吉原の面影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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