十三夜 [青空文庫]

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  • 青空文庫
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  •  1895年12月、『文芸倶楽部』閨秀小説号にて発表された、樋口一葉の『十三夜』。『たけくらべ』『にごりへ』と並ぶ一葉の傑作である。主人公であるお関の心情を中心に、主に会話文で物語が進んでいく。また、一人一人の台詞も長く、物語の構成が上と下で、場面ごとに分れていることが特徴的だ。
     上では、十三夜の晩に、お関は両親に夫と別れたいと伝えるため、実家に帰ってくる。夫である勇から酷い扱いを受けているからだ。それを聞いた母親は腹を立て、お関を慰めた。しかし、父親は冷静にお関の子のため、そして勇の力が必要なため、頑張ってほしいと伝え、お関は父親の言葉に納得し、離縁は取りやめることとなった。
     下では、家に帰るため人力車に乗ったところ、その車夫は昔の想い人である縁之助だった。そして縁之助もまた、お関に想いを寄せていたが、お関が結婚すると聞いてから生活が乱れていってしまった。二人は自らの想いを伝えることなく、身の内の話だけをし、お関の家に着いてから別れた。
     そもそも「十三夜」とは旧暦9月13日に行う月見のことであるが、この作品が書かれた当時も古い風習として扱われていた。そういった古い風習というのが作品自体にも表されている。勇からの酷い扱いを受けていたお関にようやく離婚したいという自我が芽生えた。しかし、我が子のため、そしてお関の弟である亥之助の出世、斉藤家を支えくれているのが夫の勇であることから、お関は自身の感情より家族を優先した。また、勇と結婚するときも、お関は録之助に対する想いを諦め裕福な家庭に嫁いだ。女性の弱い立場、家族や社会を優先せざるを得ない当時に残る古い風習が、この作品から分かる。そして、十三夜の月明かりが、お関の人生の寂しさや悲壮感をより一層引き立てているように思える。

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著者プロフィール

樋口一葉

一八七二(明治五)年東京生まれ。半井桃水に師事し、生活苦のなか「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」などの作品を発表。文壇から高い評価を得るが、肺結核にて九六(明治二九年)没。

「2020年 『吉原の面影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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