『狐憑』というタイトルにつられて読みました。
少しネタバレになりますが、『狐憑』というタイトルのわりに狐は一切出てこず、どちらかというとただの「憑き物」のお話。物語を作るものに対して少し辛辣で、何かしらの意思が感じ取れますね。中島敦と言えばの漢文調もあまり見て取れません。調べてみると、元は『つきもの』というタイトルであったらしい。さらに調べてみると、『狐憑』はヘロドトスの『歴史』をもとに書いたのだそうで、『歴史』では主人公の部落は狼に化ける不思議な一族なのだそう。我々日本人は「つきもの」と言ったら狐な気がしますが、蛇やタヌキ、犬が憑く話もあります。だとしたら狼や犬が憑いていた方が道理だと思うのですが、何を思って『狐憑』に変えたのか気になりますね。
それと、憑物持ちの家はどこでも金持ちだといわれています。全然そんなことありませんでしたね。