押絵と旅する男 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 4
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  • 8月朝のブンゴウメールにて。
    何度も読んでいる、江戸川乱歩作品の中でもかなり好きな作品なのですが、何度読んでも良いです。
    一瞬の夢のようで、奇妙な印象が強く残ります。
    押絵となった兄は、そのうち絵の中でひとり死んでしまうのだろうか。そして朽ちていくのだろうか。今回はそんなことを思いました。

  • 独白がテンポ良い。

    兄弟姉妹を旅に連れて行きたいのは、今も昔も一緒なのだろうか。

  • 「恋とは、不思議なものでございますね」

    はたして人が旅に出る理由とは、なにか。
    物見遊山であれ、信仰の行いであれ、土地土地で見知らぬ人と行き違うこと、少なからぬ〝異界への憧れ〟とは言えまいか。
    旅の恥はかき捨て、などと言わずとも、旅先では柄にもなく雄弁になったり、普段よりもフレンドリーな態度になったりすることがある。それだけ古くから私たちは土地やらしがらみといった中で縛られて自己を形成させられているのかもしれない。

    旅する男は皺の多い四十とも六十とも判らぬ風貌で、いやに奇怪な雰囲気を感じる。汽車に二人きり。主人公はえもいわれぬ導きによって、旅する男の抱える荷物(押絵)を目にすることになる。

    蜃気楼、遠眼鏡、浅草十二階(凌雲閣)、覗き小屋…今でいうところの光学と錯視に関わる事象やものの見え方(在り方)の変異を現実に滲み込ませるような入念な準備が施され、さも主人公が道中みていた夢物語か、と思わせるエンディングまで実に味わい深い名作。

    ドラマ化されるのであれば大杉漣あたりに演じてほしい。

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著者プロフィール

1894(明治27年)〜1965(昭和40年)、小説家。
1923年、『新青年』に掲載された『二銭銅貨』でデビュー。
1925年に『新青年』に6ヶ月連続短編掲載したうち2作目の『心理試験』が好評を得、初期作品は日本人による創作の探偵小説の礎を築いた。また同時期に『赤い部屋』『人間椅子』『鏡地獄』なども発表、幻想怪奇小説も人気を博した。
1927年に休筆したのち、『陰獣』を発表。横溝正史に「前代未聞のトリックを用いた探偵小説」と評価される。
1931年、『江戸川乱歩全集』全13巻が平凡社より刊行開始。
1936年、少年向け推理小説シリーズの第1話「怪人二十面相」を雑誌『少年倶楽部』に連載。太平洋戦争により一時執筆を休止したが、戦後再開し、子どもたちから絶大な支持を受けた。

「2021年 『人間椅子 江戸川乱歩 背徳幻想傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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