乱歩のユートピア小説。
売れない小説家人見廣介が、学生時代に”兄弟”とあだ名されるほどに似ていた財産家菰田源三郎が死んだと聞き、墓を暴いて蘇生したふりをして入れ代わる。
そして、おのれのユートピア、パノラマ島を作り上げ、正体を知った美しい妻を殺す……
幻想的で、気色が悪くて、いかにも乱歩的で、面白かった。
権力者が作り上げた宮殿や巨大建造物について人見廣介が並べ立てているけれど、
いわれずとも、パノラマ島的なものへのあこがれは誰にもある……。
読んでいるとどうしてもディズニーランドを連想してしまって、
次に行ったとき、変に周りを見渡してしまいそう(笑)。
トピアリーなんかも出てくるし。ああいうテーマパークにはつきもの。
乱歩の作り上げたテーマパーク。髪の毛のちらりと除く柱、裸女の集団、
エキセントリックで妖しい魅力の島。いつか幻視したい。