少年探偵団 [青空文庫]

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  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想・レビュー・書評

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  • 私が選んだ作品は1937年に書かれた江戸川乱歩の『少年探偵団』だ。この話は江戸川乱歩のほかの作品である『怪人二十面相』にて結成された、少年探偵団が活躍する話である。内容は東京で変な物体が出没し始める。その変な物体は真っ黒な影のようなもので白い歯だけが浮かび上がる影のようなものだった。その影は最初は質の悪いいたずら程度をしていたがそのうち少女誘拐事件を引き起こし始める。少年探偵団の一員である篠崎始君の妹である緑ちゃんが狙われていた。篠崎家にある宝石が狙いだ。まんまと宝石を盗まれた篠崎家は明智小五郎に依頼をするも、出張という驚きの理由で断られなぜか警察ではなく少年探偵団が対策を考える。そして、様々なことが起こりこの一連の事件は怪人二十面相が起こしたことだとわかったが、その後も盗まれ捕まえられずという怪盗の小説あるあるの展開になる。そして最後やっとのことで捕まえることできたが…といった小説である。

  • 黒い魔物、怪物追跡、人さらい、のろいの宝石、黒い手、ふたりのインド人、銀色のメダル、少年探索隊、地下室…これらは各話ごとの見出しとなっており、短編小説感覚で読み進めることが出来る。少年探偵団とは、江戸川乱歩の「明智小五郎シリーズ」に登場する探偵団を指す。この小説は、それらを主人公とした江戸川乱歩の物語である。著者は、貿易会社勤務を始め、古本商、新聞記者など様々な職業をへた後、1923(大正12)年雑誌「新青年」に「二銭銅貨」を発表して作家となった。1954年には江戸川乱歩賞を設け、その三年後からは雑誌「宝石」の編集にたずさわるなど、新人作家の育成に力をつくした。
    本書は、影が動かないという「黒い魔物」という話から始まり、ホラーのようなミステリーのようなスリル感を読者は味わうことが出来る。また、途中に出てくる表現には次のようなセリフがある。
    「みなさん、自分の影が歯をむきだして笑ったところを想像してごらんなさい。世の中にこんなきみの悪いことがあるでしょうか。」
    このように、本書には時々著者から読者へと問いかける場面があり、読み手を惹きつける効果があると考えられる。そして、現実味を持たせることによって、読者の心をさらにどきどきさせる工夫がなされていると感じる。
    次に表記の仕方に注目してみる。「歯をみせた」「アッとさけんで」「よこたわっている」これらのように漢字で表記できるにも関わらず、ひらがなで表している箇所が多くあった。この歴史的な小説を、小さい子供から大人まで、幅広い年代に読んでもらうためではないかと考えた。また、「ケラケラ」「ゾーっと」「チョコチョコ」など様々な擬音を用いているのが印象的だ。そこに、表現の豊かさを感じることが出来る。笑い方ひとつとっても「ハハハ…」「フフフ…」「ニヤニヤ」など多くの表現があり、不気味さを感じられるものまである。
    少年探偵団が事件解決に関わっていく中で、役立つ道具の一つに「BDバッチ」というものがある。石つぶての代わり。記章のやわらかい鉛の面へ、ナイフで文字を書いて、窓や塀の外へ投げて通信する。裏面の針にひもをむすんで、水の深さを計ったり、物の距離を測定することができる。敵に誘拐されたばあいに、道にこれをいくつも落としておけば、方角を知らせる目印になる。このようにBDバッチには十か条ほどの機能があった。事件解決で役立つ道具も見どころである。
    最後に、本書は大人顔負けの少年たちの会話を含めて、物語を楽しむことができる。小さい子供から大人まで、幅広い年代の方にぜひ読んでいただきたい作品である。

  • 少年探偵団とは江戸川乱歩の明智小五郎シリーズに登場する探偵団である。本作品は,ストーリー的に2部構成になっているがその分少年探偵団や明智小五郎の活躍が存分に描かれている。前作以上に読者を引き込む力を持っていると思われる。次々と起こる少女誘拐事件に明智小五郎と小林少年が立ち向かう、スリル満点の探偵小説。子供のみで構成されており小林少年を団長として名探偵明智小五郎を補佐する。少年探偵団の結成のきっかけとなった第一作目『怪人二十面相』において、怪人二十面相は資産家である羽柴壮太郎の所有するロマノフ朝の宝冠についていたダイヤを狙っていた。少年探偵団の結成を提案したのは、この羽柴家の次男羽柴壮二である。『怪人二十面相』の終盤で、名探偵が怪人二十面相にさらわれてしまう。明智がさらわれてから三日目、明智の弟子である小林芳雄少年が不安な気持ちで明智の帰りを待っていると、そこに羽柴少年が現われる。そして羽柴少年は明智を救う為、少年だけからなる探偵団『少年探偵団』を結成する。『少年探偵団』が初めて登場したのは1936年、『少年倶楽部』に掲載された小説、『怪人二十面相』である。少年を主人公とした冒険譚、変装や人物の入れ替えなどの奇術的なトリック怪人二十面相の人気などが合わさって大評判となり、その後も年一作のペースで連載が続いた。その後、戦争の影響によって中断したが、終戦後の1949年に『青銅の魔人』で再開。1950年代からは映画化、テレビドラマ化もなされたため幅広い世代から人気を得ている。また『少年探偵団』シリーズの姉妹編として、「名探偵明智小五郎文庫」をはじめとするリライト版がある。これは『黄金仮面』など江戸川乱歩の推理小説を子供向けに書き直したもので、原作をアレンジして明智小五郎や小林少年などを登場させているものもある。元が一般向けの小説であること、また多くが代作者によってリライトされたことから、作風は『少年探偵団』シリーズと大きく異なっている。ポプラ社の旧版ではこのリライト版が27巻以降に収録されていたが、新版では未収録となっている。これとは別に1972~1973年に講談社が『少年版 江戸川乱歩選集』の名で『蜘蛛男』『一寸法師』『幽鬼の塔』『幽霊塔』『人間豹』『三角館の恐怖』をリライト刊行、表紙と口絵を生頼範義が担当している。ストーリー内での小林少年の機転に驚かされるが、怪人二十面相の逃走劇も見物となっている。またこの作品には今では差別用語ともとれる表現が使われている。出版社はできるだけその当時の背景を大事にしたようで作品最後の注釈でも触れていますが、言葉ひとつとっても自由な表現が許された当時が垣間見れる。どんな恐怖を覚える出来事にも論理的に推理し事件を冷静に見る明智小五郎の冷静さは読者を少しずつ明るい気持ちにさせていくのが感じ取れる作品になっている。そのため大人でも子供、どの世代の人が読んでもハラハラドキドキする本であると感じる。

  • 少年探偵団」は江戸川乱歩の明智小五郎シリーズに登場する探偵団である。



    町の人たちが夜に謎の「黒い魔物」に遭遇する。その魔物は暗闇の中にしか姿を現さず、もやもやと動き、男か女か、大人なのか子供なのかも区別がつかないほど、体が真っ黒だった。この魔物の噂は瞬く間に東京中に広まる。

    そんな時、東京で「黒い魔物」による少女誘拐事件が多発する。明智小五郎の弟子小林芳雄率いる少年探偵団が魔物を捕まえるために、事件に挑む。

    魔物はある人を狙って誘拐を起こしていたが、それは探偵団の一人である篠崎始君の妹であった。一連の少女の誘拐は篠崎君の家を中心に起きていたのだ。篠崎家が狙われた理由として、篠崎君の父が昨年上海で外国人から買った宝石が篠崎家にはあった。しかし、その宝石にはある恐ろしい因縁が付きまとっていた。その宝石を手に入れるために、黒い魔物は篠崎家を狙っていったのであった。篠崎君の妹を守るために、少年探偵団や明智小五郎が一丸となって魔物の正体を暴こうとするが、謎の「黒い魔物」翻弄されていく。



    江戸川乱歩の少年向けの推理小説と聞いて、自分に理解できるのか不安だったが、読み進めるとワクワクが止まらなかった。予想外の展開が次々と発生し、トリックも複雑で物語に自然と引き込まれていった。どの世代でも楽しめる本だと思うので、みんなにもぜひ読んでほしい。

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著者プロフィール

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)
1894年10月21日 - 1965年7月28日
日本を代表する小説家・推理作家。三重県生まれ。ペンネームの江戸川乱歩は、小説家エドガー・アラン・ポーに由来。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任した。代表作に『D坂の殺人事件』、『陰獣』、『孤島の鬼』、『怪人二十面相』、『幻影城』、『探偵小説四十年』など。少年探偵団シリーズは絶大な人気を博した。

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