日記帳 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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本棚登録 : 17
レビュー : 4
  • 青空文庫 ・電子書籍

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  • これは主人公の「私」が病気で亡くなった弟の書斎を片付け、日記帳を読んでいる場面から始まる。ページを進めるうちに文通をしていた北川雪枝という一人の女性の名前が出てきたことに驚いた。彼女は遠縁の娘であった。弟は恋を知らずにこの世を去ったと「私」は思っていたが、ハガキのやりとりがあった日付が書き留めてあったため、そうではないとわかり2人の関係について調べるため読み進めた。弟はハガキを出した日付とアルファベット順をかけ、暗号にして思いを記していた。例えば送った日が1日の場合アルファベット順の始めの“A”、5日の場合“E”、というように文を作った。臆病者だった弟は雪枝さんへの告白が失敗し、拒絶されてしまったときの恐れを感じ、直接的に言うことはできなかったのだ。彼女もまた暗号のように好意を抱いていることを示す、切手を斜めに貼ることで伝えたが、弟には伝わっていなかった。これは当時1925年ごろ、ある小説の中で紹介され青年男女の間で流行していた。そして相思相愛であったはずの2人は失恋したと思い込み、死別してしまった。さらにこのことを知った「私」と雪枝さんは婚約が決まっており、「私」はいたたまれない気持ちでいっぱいになった。
    雪枝さんからすると慕っていた人の兄と結婚することはとても心苦しく、また「私」にとっても気まずい状況だと思った。また主人公はちょっとした好奇心で調べこみ、それが仇になるとは思わなかったであろう。弟の暗号は少しわかりづらいが、雪枝さんの暗号に気づいてあげるべきであったが、好きな人とのやりとりでそこまで見る余裕がなくなるのは当然である。これは単なる恋愛小説ではなく、複雑性が含まれていてとても面白い小説であり、この小説を通して言葉にして伝える大切さを改めて感じた。

  • この作品は登場人物が私と弟と雪枝さんの三人いて、弟が死んでしまった後に発見した絵葉書の謎を私が解き明かしていく物語です。弟と雪枝さんの関係について私が推理していく様子が書かれていて様々な考えを巡らせているのを読んでいてとてもわくわくする場面が多かったです。また、最後には私の衝撃的な事実を知り、弟と雪枝さんの恋を応援する私の姿を見ていたので儚さを感じました。推理の臨場感と恋愛のドキドキする展開の二つの面が合わさってとても面白い作品でした。とてもおすすめです。

  • 1984年に誕生し「明智小五郎」などの推理小説で有名な江戸川乱歩によって書かれた推理要素の入っている恋愛ものの本。
    主人公は弟の遺品から日記を見つけ雪枝という女性との手紙のやり取りを知る。
    そのやりとりに隠された秘密とは…
    最後には衝撃の展開が待っています。
    ヘタレな弟と雪枝の間のお互い臆病になって駆け引きをしてしまうところがいじらしく、現代でもこんな恋愛をしている人はたくさんいるのではないかと共感する点は多いです。またSNSが普及してきた現在、いかに自分の気持ちを直接相手に伝えることが重要か改めて考えさせられます。
    すぐに読み終わる短編小説なので皆さんも是非読んでみてはいかがでしょうか。

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著者プロフィール

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)
1894年10月21日 - 1965年7月28日
日本を代表する小説家・推理作家。三重県生まれ。ペンネームの江戸川乱歩は、小説家エドガー・アラン・ポーに由来。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任した。代表作に『D坂の殺人事件』、『陰獣』、『孤島の鬼』、『怪人二十面相』、『幻影城』、『探偵小説四十年』など。少年探偵団シリーズは絶大な人気を博した。

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