葦は見ていた [青空文庫]

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  • 主人公は単にボンボンだとして、にしても今も昔のこういう男のどうしようもないことと言ったら変わらんのう、というね。でも15年前のことをここまで忘れているのはボケではないか。
    そしてこの彼女もまた、いやなんでそんな借金を抱えているのか。もうちっと普通に働けなかったのか。とね、微妙に評価の難しい女性なのですよ。でも昔の江戸を抜けるときのお金がとか昔のヒモがとか勝手に妄想してみるってことかもしれん。
    というわけでこの読後のモヤモヤ感が結局のところ悪くはないのですよ。

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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