五瓣の椿 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  • 「怒るなよ、世の中のことは怒るやつが負けだぞ」おかねが去ると、彼は口を歪めてそう呟いた、「――藤井はあいつの古い馴染だ、あいつが万清楼の女中をしていたときからできていたらしい、そのくらいのことが見えないおれとでも思っているのか」

     何人かでてくる小悪党の皆様の世知にたけた薄汚さが、妙に魅力的に感じる。

     父親の喜兵衛さんは、娘のためにおあつらえの婿まで探して、お金も貯めてあげていたのに、こんなことになって一番不幸ではないか。

     しかし、自分の所業が一番不幸で不孝であることをとうのおしのさんもしっていることが救い難いところと感じました。

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著者プロフィール

山本 周五郎(やまもと しゅうごろう)
1903年6月22日 - 1967年2月14日
山梨県北都留郡初狩村(現:大月市初狩町下初狩)生まれの小説家。小学校の担任から小説家になるよう励まされ、志望するようになる。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む。その後帝国興信所(現:帝国データバンク)文書部を経て、1926年『須磨寺附近』を執筆、これが出世作に。
1943年『日本婦道記』が第17回直木賞に選ばれるが辞退。菊池寛との不和が影響したとも言われ、歴代の直木賞の中で唯一の辞退者となった。ほかにも「読者から寄せられる好評以外に、いかなる文学賞のありえようはずがない」という信念から、多くの文学賞を辞退している。功績を記念し、1988年に優れた物語性を有する小説」を対象とする山本周五郎賞が発足。
主な代表作に、NHK大河ドラマをはじめ映像化・舞台化が絶えない『樅ノ木は残った』、テレビドラマ・舞台化された『さぶ』、黒澤明監督が映画原作に用いた『赤ひげ診療譚』。

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