一人ぼっちのプレゼント [青空文庫]

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  • ホテルのそばにある海岸公園でまだ満4歳で幼かった子供を失い、前を向くことができない妻と悲しみに包まれているが必死に前を向こうとしている夫のまだ若い夫婦二人のお話。最初はお互いの意見が合致せずすれ違いの会話が続いている。妻は息子を思い出したくないため夫と別れるという考えを持ち出した。そんななかクリスマスの話になり、クリスマスがあるのは子供の弘がいたから弘がいないならばクリスマスなんてない、弘のいないクリスマスなんて耐えられないと妻は言う。そこでプレゼントはあげることが喜びになる相手が必要なんだという考えが思い浮かんだ。妻は一人になりたいため夫と別居をし、楽しくもつまらなくもない友人宅に泊まるようになる。そんななか迎えるクリスマス。プレゼントをくれる相手も贈る相手もない。買うことも、もらうこともなかった。というお話から始まる物語。子供を失う(亡くしたり、巣立ったり)と夫のことを愛していたのかわからなくなる人は多いと思う。現に、”子は鎹”とはまさにぴったりな言葉だと思う。子供の喪失から立ち直れない妻が友人のところでしばらく滞在していて、孤独な時間が持てたのも良かったし、何も言わず、連絡もせず、そっとしておいた夫も良かった。お互いあまり良い印象を持っていない夫とまゆみのお互いの印象も、今後自然にほぐれるだろう。

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著者プロフィール

山川 方夫(やまかわ・まさお):1930年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院中退。「演技の果て」「海の告発」など5作が芥川賞、『クリスマスの贈物』が直木賞の候補となる。著作に『安南の王子』『愛のごとく』『目的を持たない意志 山川方夫エッセイ集』などがある。「ヒッチコック・マガジン」連載の“親しい友人たち”が探偵小説読者から高く評価される、謎を扱ったショートストーリーの達人でもあった。

「2023年 『長くて短い一年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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