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東京大学出版会『質的心理学講座』

別府さんのまとめ

別府さんのまとめ

ジャンル : / その他

作成日 : 2015年12月4日

更新日 : 2015年12月4日

  • 概要

  • ・東大出版から刊行された講座『質的心理学講座』の紹介。
    ・出版社リンク<http://www.utp.or.jp/series/shitsuteki.html

     刊行にあたって(抜粋)
     私たちは,質的な立場からの心理学が何を可能にするかを問いたい.それも具体的な研究例と方法論的吟味を通して,個別の研究の提示だけでなく,質的な研究の現在とこれからを示したいのである.質的方法が一つの範型があるとは思えない.むしろ,これからも多様な工夫が行われるものであり,手順化が部分的になされることがあっても,それを越えていく試みが常に出てくるだろう.それは何より,対象とする現場や人・組織の実態に合わせて,方法を工夫し,記述の概念を作り出すことが質的方法の中核にあるからである.何より知りたい事柄があり,関わろうとする対象がある.それとの関係作りを含めて,研究は成り立つのである.……
    本講座は,質的方法のパイオニア的な働きを担ってきた研究者の方々に参加してもらい,多様でありつつ重なり合い,質的方法の中核を指し示すであろう研究群を提示する.それは質的心理学というラベルに閉じこもるのではなく,心理学全般,さらに関連する多くの学問研究に広がり,つながろうとするものである.その志を汲みつつ,お読み頂ければ,これに勝る喜びはない.

  • 全3巻

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     「育ち」や「学び」の場は,つねにその場のおかれた歴史社会的な文脈に深く規定されている.徹底的に具体的な場にこだわり,足を踏み入れ,その身体に感受される現象を五感でとらえるだけでなく,その場で生成する相互作用(トランズアクション)の中に身を投じる――.しかし,そこから私たちは,「育ち」と「学び」についてある一般性の水準で語る「言説」の場に帰ってこなくてはならない.私たちの研究は果たして「生きられた育ちと学び」の個別世界に届き,そこから「普遍につながる」言説の場の中に戻ってくることができるのか.質的心理学研究とは,そのような冒険的な試みである.

    I エピソードの記述
     1 鯨岡 峻(中京大学)「主体として「育てられ-育つ」――質的発達研究に寄せて」
     2 無藤 隆(白梅学園大学)+掘越紀香(大分大学)「保育を質的にとらえる」
     3 麻生 武(奈良女子大学)「生後2年目公園の仲間との出会い――25年前の日誌的記録から」
    II 教室というフィールド
     4 秋田喜代美(東京大学)「教師の学習としての授業研究」
     5 茂呂雄二(筑波大学)「社会的なもの――学習研究における質の探求」
     6 佐藤公治(北海道大学)「生成の行為論」
    III 社会への実践
     7 宮内 洋(高崎健康福祉大学)「〈生活-文脈主義〉の質的心理学」
     8 恒吉僚子(東京大学)「文化の境界線から社会をひもとく――質的社会学からの問題提起」
     9 大谷 尚(名古屋大学)「学校文化と「神々の微笑モデル」――テクノロジーと教授・学習文化とのコンフリクト」

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     「ナラティヴ・ターン」(物語的転換)と呼ばれる学際的な潮流が,生涯発達心理学,臨床心理学,精神医学,看護学など多様な学問と実践を横につらぬき,いまどのような新しい考え方や実践をひらいていくのかを展望する.「語り」「物語」が出来事や経験をまとめ意味づけること,「病いという経験を生きること」とケアの意味,一見ネガティヴにみえる出来事や経験を意味づけて生きてゆくこと――,これらを,インタビューや面接やテクスト分析などを通じてどのように研究としてまとめ,実践に生かしていくのか.具体性に密着しながら,広く方法論や技法の提案へと展開する試みにチャレンジしてみたい.

    I 失うことと生きること
     1 やまだようこ(京都大学)「喪失を生きるナラティヴ――「千の風になって」」
     2 能智正博(東京大学)「失語症者の〈語り〉を聴くこと――"病い"の構築という視点から」
     3 川野健治(国立精神・神経センター)「自死遺族の語り――今,返事を書くということ」
    II ライフサイクルと臨床の知
     4 戈木クレイグヒル滋子(首都大学東京)「小児がんの子どもの闘病体験――研究という名の長距離走」
     5 斎藤清二(富山大学)「ナラティヴ・ベイスト・メディスンと臨床知――青年期慢性疼痛事例における語りの変容過程」
     6 岡本祐子(広島大学)「人生半ばのアイデンティティ危機の理解――中年期危機に対する発達臨床的アプローチ」
    III 病いの語りと治療の道のり
     7 森岡正芳(神戸大学)「物語としてのカウンセリング」
     8 下山晴彦(東京大学)「認知行動療法と語り」
     9 江口重幸(東京武蔵野病院)「病いの語りと人生の変容・再考――病いと物語の諸相」

  • 別府さんのまとめ

     人間の経験世界の実相をとらえ,その意味を探る質的心理学のうち,経験の生起する場である社会と場所という文脈に着目する.「今,共同体とはどのようなものとして構想されるか?」「現代の社会に心理学が提供できる視野は何か?」「具体性に定位しつつ理論的な跳躍を可能にする心理学とは?」――人が生きるというプロセスが,個人の「内的」な活動である以前に,こうした社会と場所という具体的で共同的な状況との関わりの形成・再編の過程であることを実例的に示した,具体的であり,かつ,理論的な論考群である.

    I 場の生成と紡ぎあう私の発生
     1 南 博文(九州大学)「山を舁いてみた博多」
     2 石井宏典(茨城大学)「ならいとずらしの連関――那覇・新天地市場の形成と展開」
     3 矢守克也(京都大学)「阪神・淡路大震災を記憶した場所」
    II ポリティクス――力のせめぎ合いの現場へ
     4 山本登志哉(早稲田大学)「供述における語りとその外部――体験の共同化と「事実」を巡って」
     5 好井裕明(筑波大学)「日常的な差別や排除を読み解くということ」
     6 杉万俊夫(京都大学)「地域活性化のアクションリサーチ」
    III 現場と社会――抽象と捨象の間
     7 阪本英二(九州大学大学院人間環境学府)「場所の現象学――生きるという方法」
     8 三浦 研(大阪市立大学)「高齢者施設計画研究における"質"へのアプローチ――工学論文で示せること,示せないこと」
     9 サトウタツヤ(立命館大学)「「社会と場所の経験」に向き合うためのサンプリング論再考」

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