ブクログ談話室

繰り返し読んでいる「座右の本」はありますか?

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  • おすすめ教えて
 展開も、結末も、文章までも覚えてしまうほど読み込んでいるのに、それでも、ことあるごとに、繰り返し何度も読んでしまう、そして、その内容が、ご自身の生き方や行い、考え方に少なからず影響を与えている「座右の本」を教えてください。

 特にどの部分に惹かれるのか、その本の魅力を語って頂けると嬉しいです。
質問No.346
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 沢山あるが一番に浮かんだのは梶井基次郎『檸檬』。何度も読んだのは勿論のこと、音読もしたし、原稿用紙に一字一句書き写すことも数回やったほどで、ほぼ暗唱できる。
 執筆当時梶井は肺を患っており、常に微熱があった。「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終壓へつけてゐた。」とこの作品ははじまる。
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回答No.346-03210
コメント 3件
Maさん Maさん 2010/09/21
 京都の町を歩いていた「私」(梶井)は通りかかった八百屋で檸檬を見つけ、その瑞々しさと冷たさ、鮮やかな色に憧れを持つ。
 檸檬をひとつ持ち、「私」は丸善に入ってゆく。この丸善というのは非常に大きく、店内は人でごった返している。丸善は「社会、権威」といったものの象徴です。梶井はその自分を圧迫する社会や権威に対して違和感を抱き、挑むのです。
Maさん Maさん 2010/09/21
「私」は徐に画集を積み上げ、その上に檸檬を置く。そして「あの丸善が美術の棚を中心として大爆發をするのだつたらどんなに面白いだらう。」「さうしたらあの氣詰りな丸善も粉葉みじんだらう」と思いながら去ってゆくのです。
 これから、というときに、自分は病に侵されている。(梶井は肺結核により三十一歳の若さで夭折)その梶井の陰鬱な気持ちと、鮮やかに色彩を放つ檸檬の対比が美しい。
Maさん Maさん 2010/09/21
 梶井は檸檬の色を、言葉を尽くして様々書くのではなく、「レモンヱロウの繪具をチユーブから搾り出して固めたやうなあの單純な色」と書く。そこがいい。

 『檸檬』はじめ梶井基次郎の作品は青空文庫でも読めるのでぜひ。正字正假名遣を薦める。
『檸檬』http://bit.ly/bYLhvy
(作品リスト)http://bit.ly/aszQv3
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