海と毒薬 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1971年6月21日発売)
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本棚登録 : 403
感想 : 50
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これまた映像関係を契機に再読(と言っても本作ではなく、渡辺謙(?)の最新映画宣伝なんですが)。
率直に言って『沈黙』には遠く及ばないと思う、理由は構成の問題か。
作家のテーマはおそらく自己への問いかけ・人間探求ではないかと推察するが、本作はそのテーマを主人公含む複数の登場人物にそれぞれの性格付けを行って考察しようとしている。
しかしその代償か、各人物の造形が浅くなってしまい、個人の内面の葛藤・緊張感が希薄なものとなってしまっているように思われる。
人体実験の描写など確かに目を瞠るものがあるのだが、読後感が意外にもあっさりしているのも本作の設定によるものではないでしょうかね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年9月11日
読了日 : 2013年9月11日
本棚登録日 : 2013年9月11日

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