決定版 私の田中角栄日記 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2001年2月28日発売)
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感想 : 10
4


久しぶりに、Fに遊びに来てくれた
D時代の同僚から紹介された本作

もう、平成も終わろうとしてるのに
年齢が近い人と話すと
何故か、昭和の話になるのは
あまりにもエグいコトが多いから 笑

特に、戦後の混乱期
どさくさ紛れに、財を成したり
フィクサーと呼ばれるような
怪しい人達が、ゾロゾロいる昭和と言う時代

そんな中
どんなに政治に疎い、若い人でも
新潟県出身者なら
必ず知ってる、田中角栄

本書は
「越山会の女王」と呼ばれた
角栄の愛人である
佐藤昭(あき)が、欠かさず付けていた日記を元に
彼女から見た田中角栄を書き綴っている


角栄と昭の出会いは
二人の故郷である、新潟県柏崎市

昭の生家である、老舗文具店に
背広姿で現れた角栄

初めて、衆議院議員に立候補するするための
選挙活動で
地元の元警察署長と共に地縁を回っていた

そこで、応援演説をしてくれる人を探していると聞き
高校時代に、弁論部主将をしていたことがある
昭の婚約者を紹介したコトから
選挙活動を手伝うコトになる


ここから33年間の二人三脚が始まる

第一次岸内閣で、郵政大臣に就任
戦後初めて、30代での国務大臣
自民党政務調査会長から
大蔵大臣へ
その後、自民党幹事長に就任し
通産大臣から
内閣総理大臣に就任する

その間、秘書として陰から田中を支え続ける

首相退任後に発覚した
ロッキード事件に関して
「田中は、一貫して全くの無実である」
と、本書では主張している

事務所の金庫番を任されていたとう自負が
言わしめてるようであるが…

ある意味、昭には
素の姿しか見せていなかったのだろう

政治家たる所以の
黒い部分は、決して見せなかったのね


現代においても
評価が真っ二つに分かれるという
田中角栄


抜群の記憶力と、人心掌握術に関しては
本書でも至る所で記載あり

次々と議員立法を成立させる豪腕は
「コンピューター付きブルドーザー」と言われ

日中国交回復に尽力した功績は
多少強引とはいえ、評価を得ている

かと言えば
「日本列島改造論」をぶち上げて
地方再生を唱え
高速道路や、新幹線を配備

その流れで、金脈政治家と言われ
ロッキード事件で逮捕

にも関わらず
田中派を通じて政界にも
隠然と影響力を保ち続け
「目白の闇将軍」と呼ばれる


「越後女は、徹底的に男に尽くす」と
本書にあるように

脳梗塞で倒れ、政治生命が失われ
娘の真紀子によって事務所が閉鎖されてもなお
自ら、政治団体を主宰し
角栄の復活を待ち続けていたという

恐るべし、越後の女


そんな強靭な精神力を持つ
昭の他にも、神楽坂の芸者や
その他諸々の女性達に
影となり日向となり支えられた
田中角栄



昭和には、現代だったら
即アウトな
豪傑が、ぞろぞろいるから面白い







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#金脈政治
#闇将軍
#ロッキード事件
#昭和の天才政治家
#人身掌握

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月25日
読了日 : 2019年1月30日
本棚登録日 : 2020年8月25日

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