犬の帝国: 幕末ニッポンから現代まで

  • 岩波書店 (2009年10月29日発売)
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幕末から現代までの、日本における犬のイメージ、人間の犬に対する態度の変化を通じて、日本の立場、社会意識変化を論ずる。
まず、幕末開国で、西洋人が西洋由来の犬を持ち込み、その洋犬と、日本の土着犬の対比において、かたや洗練、進化しているポジティブなイメージ、こなた野蛮、遅れており狼に近いネガティブなイメージで狼、野犬狩りが行われる。やがて、経済的/帝国主義的地位の上昇、ファシズム的な意識の浸透に伴い、日本犬が狼に近く、純血、勇猛、忠誠心に厚いというように価値観が転換する。狼に対する評価も一転。
この辺り、ナショナリズムと共に、ドイツにおけるシェパードの賞揚と並行した動きであるとの指摘が面白い。
日本犬のイメージ向上のためにハチ公宣伝が果たした役割も面白い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2021年1月22日
読了日 : 2021年1月22日
本棚登録日 : 2021年1月22日

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