
美しい装丁の本である。表紙の上からかかっている透ける素材の緑のカバーが、腰帯より大きく、完全なカバーより小さい微妙なサイズで、しかも、下の表紙と全く違う印刷なのだ。凝った装丁から、本を出版する側の思い入れが感じられる。
内容については、著者がゲラ段階で逝去されたと言うこともあり、十分整理されているとは言えない。あちこちで同じ話を読まされるし、個々の植物園(地域)の話が、バラバラに語られている。地域や時期の差による特徴など(あるかどうか知らないが)、何かしらまとめ的なものや、その後の展開などがあったらよかったのにと思う。
植物収集の目的に、鑑賞や博物学的な意味では無く、経済的な理由(食用、あるいは商品として)を見るのは納得できる。工業化以前の資源、商品として、植物産品は植民地化への動機、植民地経済を回す原動力であったのだ。
- レビュー投稿日
- 2020年9月6日
- 読了日
- 2020年9月6日
- 本棚登録日
- 2020年9月6日
『植物園の世紀: イギリス帝国の植物政策』のレビューへのコメント
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