影裏 第157回芥川賞受賞

著者 :
  • 文藝春秋 (2017年7月28日発売)
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本棚登録 : 1131
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余韻がすごい作品だ。
先日盛岡を訪れた際、これも縁かと思い、以前から気になっていた、盛岡が舞台の本作を購入した。
今野が仕事で住むこととなった盛岡で、親しくなった同世代の男・日浅。緑の美しい川辺で趣味の釣りに興じ、酒を酌み交わす今野と日浅。自然の描写がとにかく美しく瑞々しい。日浅が転職してから、じわじわと不穏な影が忍び寄ってくるのだが…後半、まさかの展開に目眩を感じる。現実と過去が入り組んで分かりにくい箇所もあるけれど…読み終えて、この作品は舞台が盛岡だからこそ成立する作品だなと納得した。
長くはない作品なので、描かれていない部分を脳内で補う必要があるけれど、それが苦ではない。むしろ、いつまでも余韻に浸っていたくなる。淡々とした文章と思っていると、時々感情描写の生々しさに戸惑ったり、後半を覆う重苦しい空気が若干不気味に感じられたりもするのだが…そういったところも含めて、この作品の雰囲気が妙に好きなのだ。
これは、是非映画版も見てみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の作家
感想投稿日 : 2022年7月18日
読了日 : 2022年7月18日
本棚登録日 : 2022年7月15日

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