萩尾さんの口から語られる大泉時代の思い出はあまりに痛く、ことに竹宮さんのことに関しては…なにも言えない。本書が発売されると知り、ワクワクしていた自分をぶっ飛ばしたくなるほど衝撃を受けた。人間関係は難しい。萩尾さんの仰る「排他的独占愛」…これは人との関わりで避けられないものかもしれないと思う。それが創作に携わる方なら尚更。
それでも、私は萩尾作品も竹宮作品もどちらも愛している。それだけは今後も変わることはない。
どうしても竹宮さんや増山さんとの関係に目が行きがちだが、漫画家になるまでのいきさつや他の漫画家達との交遊関係(山田ミネコ、ささやななえこ、佐藤史生、山岸凉子、木原敏江etc.たくさんの著名漫画家が登場する!)、影響を受けた文学作品など、読み応えあるエピソードが次々語られる。私も大好きな短編「温室」「マリーン」の原作者についても語られ、長年どういう方なんだろう…と思っていたので、ようやく知ることができて嬉しい。萩尾さんの原作有漫画についての考えも知ることができてよかった。(小学生時代に描いたという萩尾さんの「若草物語」、興味あるわ)この小説はこの漫画家に描いてもらえたら…という萩尾さんの妄想に、大いに共感!
色々と考えさせられる内容ではあるけれど、今後の萩尾さんが心安らかにお仕事できることを一ファンとして願っています。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
サブカル・エッセイ
- 感想投稿日 : 2021年5月1日
- 読了日 : 2021年5月1日
- 本棚登録日 : 2021年4月21日
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