「伊集院光:深夜の馬鹿力」、「オードリーのオールナイトニッポン」「全国こども電話相談室・リアル!」など…実在のラジオ番組が登場する、5つの短編。
私もお気に入りのラジオ番組があるため、何気なく聞いているようで実は結構心の支えになっているラジオの存在の大きさが、本書を読むとじわじわと沁みてくる。
ケアハウスに入所した老女、仕事にしくじり現実から逃げ出す男性、悩める女子中学生…様々な世代の生活に、そっと寄り添うラジオ番組。あの人のあの言葉がこんな風に影響を及ぼしたのか、こんな風に絡めてくるのかといつものことながら原田ひ香さんの構成力には脱帽。今回初めてひ香さんの短編を読んだが、短くてもテンポがよく、甘さ苦さをぎゅっと凝縮した展開に夢中になりました。どちらかというと苦さ多めで、現実の厳しさをビリビリと感じさせる場面もちょいちょいあるけれど、それでも読後が爽やかだ。
「ギリギリ」を読んだときにも感じたけど、シナリオ直し作業の気の遠くなりそうなキツさの描写がリアル。壮絶な「産みの苦しみ」を経て、ドラマは完成するんだなと今更ながら感じた。
表紙イラストに、個人的に注目している漫画家の石山さやかさんを起用したこともナイス人選でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本の作家
- 感想投稿日 : 2017年7月31日
- 読了日 : 2017年7月31日
- 本棚登録日 : 2017年7月25日
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