ユリイカ2011年5月号 特集=角田光代 明日に向かって歩くのだ

  • 青土社 (2011年4月27日発売)
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感想 : 3
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文芸誌の「角田光代」特集は必ず買うようにしている。今回は「ユリイカ」ということで、解説がちょっと自分には難解で、消化するのに時間を要してしまったが…。ユリイカならではの解釈に、なるほどそういう見方もあるのかと新鮮であった。
ほどよいユルさで楽しく読めたのは、本人に加え、親交のある作家の長嶋有・中村航・そして旦那様(!)の河野丈洋による対談。河野氏との馴れ初めも語られており、ファン必読ですぞ!!
そして、文芸誌の角田特集でほぼ必ず載る、本人インタビューと全作品解説。今回は両方とも千野帽子が担当。ツボを心得た質問、そして解説!しかも全作品解説には、コバルト時代の彩川杏名義作品の解説も収録されており、さすがです、嬉しいです!彩川時代の本は一冊だけ読んだことがあって、すごく面白かったんだけど…復刊してくれないかとひそかに願っているのだが。
対談で長嶋有が「2000年以後の角田さんは今に至るまで快進撃を続けてるし、それは角田ファンとして嬉しいことだけど、なんかすごい不機嫌だった『90年代角田』こそ知ってほしいみたいな気持ちがあるんだよね。(中略)決して心地いい読書じゃなくて、ヒリヒリしてるような感じなんだけど。」と述べているが、私も激しく同意である。直木賞以降の角田作品から読み始めた人にはとっつきにくい作風かもしれないけど…このヒリヒリ感こそ角田作品の原点と思うのだ。当時の作品をまた再読したくなったなぁ。
ゆるやかに進化しつつも、芯はぶれない角田さん。「知ったような気がするものでも、知っているとは書かない。」そんな姿勢で生み出される、これからの作品が楽しみですよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 角田光代
感想投稿日 : 2011年6月11日
読了日 : 2011年6月11日
本棚登録日 : 2011年6月11日

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