「絶望して取りかかっても良いことなど何もない。まず最初に必要なのは、希望を失わないことだ。」
3行くらい読んで、久しぶりの続編なのに関連する巻を読み直すことを怠った自分を恨んだけど、各所で出てくる身に覚えのあるシーンが記憶を呼び戻してくれて、お話を書くのが本当に上手だなあと。
かつて小さな体に緊張を目一杯溜めて泰王驍宗の隣に立っていたことや、自分の騎獣を前に興味津々にうきうきしていた泰麒の様子をありありと思い出したし、その後の悲劇と、そのために景王陽子が奔走した日々や延王の助力、そして泰麒が「載国に帰らねばならない」と言った日。今までの、すべてがここに繋がっているのだなと、しみじみと、深々と感じる。
十二国記の一番好きなところは、どんなに辛いことがあっても折れない人の心に触れられるところだけど、全4巻のうちの第1巻で既にそれをありありと感じられてたまりません。
絶対悪だと思っていたところも何か不思議だし、どこもかしこもうまくいっていない感じがして、戦うべきは、倒すべきは、黒幕は誰なのか、3巻4巻まで1か月待たねばならないと思うと少し気が重い。それまで私は、この苦渋を背負えるだろうか…。(まだ1巻だけど。)
それでもこの1か月、ひたすらに耐えようと思う。1か月後に、載国の厳しく凍てついた冬が終わり、優しく暖かい春が訪れると信じて。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
たおやか
- 感想投稿日 : 2019年10月17日
- 読了日 : 2019年10月16日
- 本棚登録日 : 2019年10月15日
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