世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

4.07
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本棚登録 : 1644
レビュー : 247
著者 :
つづきさん 小説(国内)   読み終わった 

手に持った瞬間からずっしりくるこの厚み。
短編や中編はすごく面白かったものの、正直読む前からすでに読み切れるか不安でした。
でもとっっっっっても良かった!!!読んで良かった。
もうどうレビューするべきなのか分からないのですが、とにかくこの世界観に入り込んでしまって、久しぶりに物語を物語として純粋に味わったような気がします。
何かの合間では読めなくて、夜やるべき家事をすべて終えてから「さぁ読むぞ」と心して読み進めてました。

ハードボイルド・ワンダーランドと世界の終り、交錯することなくそれぞれ独立しているかに見えるこの2つの世界の曖昧な境界線が終始心地よかった。
SFのようなファンタジーのような、かと思ったら青山で地下鉄に揺られたり銀座のレストランで食事したり。
そういう夢とも現実ともつかない雰囲気をまとい、村上春樹特有の文体と言い回しが完璧にこの世界観を仕立て上げています。

僕と私は同一人物なの?私がこれからとり戻す世界の終りとは、僕が残ったままの世界の終りのことなの?
ラストもあれは絶望なのか希望なのか、どちらとでもとれるような不思議な余韻だけを残していました。
便宜的な正解は何も明言されておらず、すべてが自分自身に問いかけられているかのようで、私は彼の作品のまさにそこがとても好きです。
共感する、感情移入するという次元ではなく、読み手をそのままひっぱりこんでどぼんと沈め込まれるような、そんな感覚にしてくれます。

カラマーゾフの兄弟の名前を全員言えることとか、図書館でリファレンス係やってることとかが少し誇らしくなってしまった。
何度も読み返したい素晴らしい傑作です。
これで「村上春樹好きだ!」と確信をもって言えるようになりました。

レビュー投稿日
2015年9月29日
読了日
2015年9月22日
本棚登録日
2015年9月22日
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