蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)

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本棚登録 : 4454
レビュー : 419
著者 :
JJさん  未設定  読み終わった 

これが320円!?お値打ちすぎない!?ってのが一番の感想。

猿蟹合戦ののち、蟹は裁判で死刑宣告を受け、臼ほか共犯者は無期徒刑に処された。蟹の行い対する世論は果たして———。と、こんな面白そうなスタートを切り、予想通りの、そしてある意味予想外の展開を辿る4ページの短編。お伽噺の「その後」を世知辛い現実を以って描く。その着眼点も書きようも凡人の自分には到底思いつかない。浅い感想だけども、とても面白かったの一言に尽きる。

その他もほぼ5ページ前後の短編で構成されており大変読みやすく、どの話も一文目から面白くなる予感にワクワクする。
蜘蛛の糸:この話を手元に置いておきたくてこの本を買った。だらだらと冗長でもないのに、見たこともない極楽と地獄を目の前にありありと想像できる描写の的確さ。
犬と笛:わかりやすく教科書に載っていそうなお話。勧善懲悪、読みやすい。
蜜柑:子供のころに読んでいたら違う感想を持ったはず。大人になってしまったから、前半の田舎娘を疎ましく思う気持ちを多少理解できてしまったことが辛い…爽やかに終わったが語り手の身勝手さが残る。無論語り手とは、読み手である私でもある。
魔術:蜘蛛の糸と似たテーマ。言うは易し。人生は欲との闘い。
杜子春:教科書以来。時間がかかっても学びが大切。家庭によるが親からの愛情は本当に無償で泣ける。前半の群がっては引いていく友人達と同等の人間にならない自信が、自分にあるか?
アグニの神:ストーリーは面白かったものの、本書ではパンチが弱かった印象。他が面白すぎたからかも。
トロッコ:子供のころの感想は???だったが、大人になったのでさすがにノスタルジーを感じずにはいられなかった。誰でもいつかの自分と重なる話。
仙人:こちらもあまり強い印象には残らなかった。ひたむきに学べば実ることもある?にしても、少しお人好しすぎるわ。
白:皮肉の詰め合わせ。嬢ちゃん坊ちゃんどないやねん。
白は立派だったけど、白に戻りたかったから戦ったのではなくて死にたかったから、というのが予想外だった。

どの話も面白くて文体も新鮮で、これが320円なんてありがたい時代だなあと思う。教科書以来の芥川だったけど、これは子供時代に一度読んで大人になってまた読んで、という読み方をした方がいい。誰が読んでも面白い。


レビュー投稿日
2019年8月16日
読了日
2019年8月15日
本棚登録日
2019年8月15日
7
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