ラブシーンの言葉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2009年7月28日発売)
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本棚登録 : 93
感想 : 8
5

おまっとさんでした、2005年に四月社から単行本で出ていたものが、待望の文庫になりました。

あら、ちょうどいいわ、なんて調子で、お嬢さん、自分の恋愛の究極の場面に応用しようとか、または、今どき猫でもやらないラブレターを書こうとして、ちょっと参考に、なんて考えた、そこの男子高校生諸君、ちょっと待った、そんな気持ちで手に取ったら、火傷しますよ!

これは、みんな大好き淫乱言葉満杯の一冊です。古今東西・老若男女の性愛に関する集大成です。

もちろん、すべて類まれなる荒川洋治という、優れた紳士的なやさしい助平なまなざしで射抜かれた、失神寸前あるいは失神してしまったシーンばかりを集めた厳選マニア集です。

他の人がやったら、当然ですが、みっともないこと甚だしい、ただの変態趣味の下着集め同然に陥る代物です。

サントリーのトリス、じゃなかった、クリトリス(たまにはいいでしょ、おばさんギャグ!)の度アップ・フォトが掲載されてる講談社ブルーバックス『男が知りたい女のからだ』のことや、プルーストから話題の人・村上春樹や重鎮・団鬼六や名人・宇能鴻一郎までを網羅し、そして、パンティ、お尻、フェラチオ、射精、亀頭、ヴァギナなど、確信に触れる単語を媒介に、本質的な内容を紹介してくれます。

ここに書くのもはばかれる、顔が赤くなる卑猥な一節を208編も集めた労作ですが、むかしも今も、これらの文学的行為(?)は所詮むなしいもの、やっぱり実際におこなうことの方が遥かに実感できるのに決まっています。


この感想へのコメント
1.ヨナキウサギ (2009/07/30)
あらまあ、私、単行本をすぐに買って持ってました。
御感想の最後はご同感にて。
とはいうものの、文学的ことどもを知ってたほうが、実際の実感が深まるぞ、と思ったりもしたのでした。

2.薔薇★魑魅魍魎 (2009/08/04)
ひょっとして、弊害の方が多いかも。先行する言葉やイメージに近づけて実感を実体化させることほど愚行はないみたい。貧しい体験が豊富な知識によって、充実と誤解することほど滑稽なものはないかも。でも、そのうち、実際か虚構かわからなくなり、渾然一体化して幻想領域に突入するのは誰もが経験なさること、でしたっけ。豊富な経験の私には無関係ですけれど、なんちゃって。余計な返信で失礼しましたア~。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学(小説・詩歌・伝記・随筆・批評)
感想投稿日 : 2009年7月28日
読了日 : 2009年7月28日
本棚登録日 : 2009年7月28日

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