こんな人もいてもいいのかな、くらいに甘く考えていた自分が、浅はか愚か認識不足で、とても恥じています。
元航空幕僚長で首になった人ですが、単なる戦争ごっこの好きなオジサンだとばかり思っていたら、とんでもない、完全無欠のアナクロニストでした。
彼が8月6日に語った「ヒロシマの平和を疑う」という、太平洋戦争に関する皇国史観に基づく歴史認識の講演を約35分間も聞いて、卒倒して発狂しそうでした。
興味のある方、または御用とお急ぎでない方は、ユーチューブで聞けますので、お聞きになってみては、ともかく摩訶不思議な超現実体験が味わえます。
話のうまい人で、人物の描写巧みに、年月日をきっちり断言して、人数もピタリと正確に、盧溝橋事件をはじめすべて中国から仕掛けてきたことで、日本軍は泣く泣くやむを得ず戦争に突入して、南京大虐殺も中国の作ったウソだというお話です。
何も考えずに聞いていると、足元からバラバラと地面が崩れていくような、自分が今まで正しいと思っていたことが、まったく完璧に間違っていて、いま目の前で話されていることが本当に正しいかのような錯覚に、ほんの一瞬陥ったりします。
彼の講演は、全体を見渡せば徹頭徹尾、嘘・ねつ造・虚偽のオンパレード、まるで大本営発表を聞いているようで、この人は生まれてくる時代を間違ってしまったのに違いないとしか思えません。
あっ、中でもっとも白眉の詭弁=判断に躊躇するかもしれないものが、中国や台湾や東南アジアに侵略した時、アメリカやヨーロッパの国々は教育を受けさせなかったり、破壊しつくしたりしたが、日本は侵略した現地の人たちに教育を受けさせ、昔の帝国大学も満州と台湾に作ったし、橋やダムや建物を作ったりして、それを彼らに感謝されているというものです。侵略した結果、現地の人たちに恩恵を与えたという倒錯した自己弁護はたいした鉄面皮です。
このことを言及するとき彼は、白人は破壊するが日本人は建設する、という言い方をしますが、日本人は白人より優れているんだと主張したいらしいですが、逆に極度の白人コンプレックスだと告白しているようで、まるで『家畜人ヤプー』から飛び出してきた世界観みたいで興味深いものがあります。
- 感想投稿日 : 2009年9月18日
- 読了日 : 2009年9月18日
- 本棚登録日 : 2009年9月18日
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