馬の首風雲録 (扶桑社文庫 つ 4-1)

著者 :
  • 扶桑社 (2009年4月28日発売)
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感想 : 7
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一昨日、書店で発見。すでに異なる出版社のものを4冊蔵書していますが、躊躇せず購入。

ここ最近では、早川書房以来の9年ぶりの文庫化です。また新たな読者の目に触れることを、たいへん喜ばしく思います。

ええっと、これは彼の『48億の妄想』に続く、第2作目の長編小説です。初出は1967年。

ちなみに同じ年に2冊の短編集、映画でもお馴染みの『時をかける少女』と、それに世間のヒンシュクを買った(なにしろベトナム反戦運動が叫ばれている、良識が前面的に当り前の時代に、戦争を見物に行くツアーで、人が死んでいくのをワクワクして見るというとんでもない小説)『ベトナム観光公社』も刊行されています。

あっ、今ふと思い浮かびましたが、現在では当たり前の、作家が生存中に全集を出すということも、実は1983年~1985年にかけて出された筒井康隆全集24巻(新潮社)がほとんど初めてで、それまでは選集という形しかなくて、全集は没後だったように思いますが、違っていたら御免なさい。

何故そんなことを言うかというと、テレビ東京の「世界を変える100人の日本人」を見ていたら、筒井康隆が出ていて、読むべき名作として芥川龍之介の『河童』を推薦していたのです。

ふつふつと思い出しました。芥川龍之介といえば、私が最も没頭した小説家で、今から思えばよく読んだものですが、中1の夏前までに岩波の全24巻の全集を読破しました。

何かに取り付かれたように、読書ノートも克明につけ、黙読以外にも清水寺の誰もいない場所で朗読したり、たしか時間があれば写経ならぬ写小説したりもしていた記憶もあります。

あ、まあ、それはともかく、それでですね、その他の作家の全集も、学校や市や知り合いのお兄さんの大学の図書館まで押しかけて読みまくったのですが、(あと、もう一軒の不思議な場所がありました。友達の中に大富豪の息子がいて、彼の大豪邸に案内されて驚きました。図書館より本があって、しかも私の読みたかったけれどお目にかかったことがない本ばかり。もちろんひつじのように本を運んでもらい読みました)読書時に、作家の顔とか身なりとか、いつ頃生きていた人なのかなども気にして読むタイプでしたが、その時に全集で読んだ作家はことごとく物故していました。だから・・・、という訳です。

そんな風にして、日本と同時に世界中の文学を、純文学からSFやミステリーやあらゆるジャンルを読んで来て、一番好きなのは、やはり筒井康隆なのです。

ええっと、これほど好きでもファンクラブとかに入ったことはないですし、残念ながら、私は筒井党員でもありませんが、あ、これって熱狂的ファンの集まりだとか聞いたことがありますが、今もあるのか不明です。

好み、といってしまえばそれまでですが、もし『華氏451』の極限になって、世界中の文学の中で、たった一つだけ残すことが出来るなら、迷わず筒井康隆全集を選びます。

世界中の小説家で一番重要なのは誰かな?  と、狼に聞かれたら、食べられてもいいから大急ぎで、筒井康隆、と答えます。

あれ、好きだ好きだを連発するだけで、全然前へ進めません。

それと『馬の首・・・』のことが、スッポリ抜け落ちてしまいました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学(小説・詩歌・伝記・随筆・批評)
感想投稿日 : 2009年5月8日
読了日 : 2009年5月9日
本棚登録日 : 2009年5月8日

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