ハイ・フォ-スの地主屋敷

  • 岩波書店 (1969年12月16日発売)
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感想 : 3
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イギリスのダーンリイ・ミルズに住む3人の少年ピーター、アーサー、デイビドの中学1年生1年間の物語。
前作では足の不自由な少年だったデイビドは手術が成功して、今は普通にやんちゃな少年。

ピーターは発明や創意工夫が大好き、デイビドは想像力が豊かで手先が器用。
アーサーは身体能力が高くて生活力が旺盛。

今回は牧師にも見捨てられた、小さな教会の復旧工事を手伝う3人。
その敷地のそばにあるハイ・フォースのお屋敷を借りて住む海軍の元提督と仲良くなり、古い大砲を手入れして発射訓練をしようとしたり、教会に昔あったはずの聖母像の行方を探したり、史上例を見ないほどの大雪に見舞われ埋もれた家から住人を救出したりと冒険の日々。

この作品の何が好きなのかというと、毎日遊び惚けているようでちゃんと家の仕事を責任をもって分担し、毎日家の仕事に追われているようで存分に遊んでいるところ。
そういう毎日を送ることで、知らず知らず生きていく力がついていくのだと思う。

もちろん全てが順風満帆なわけではなく、何といっても子どもなので大人の決定には従わなければならなくて、すべてが手詰まりになってしまう時もある。

この作品では、教会にあったはずの聖母像の行方を追うことが一つの柱となっているけれど、私が一番好きなのは大雪の時の3人の働き。
あっという間に全てが雪に埋まってしまうようなときに、放牧している羊を安全なところに連れて行かなければならない。
真暗な猛吹雪の夜。
私なんかが想像もつかない世界で、彼らは言われたことをやるのではなくて、自分が為すべきことを考えて行う。
なんと頼もしいいたずら坊主達よ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年3月11日
読了日 : 2019年3月11日
本棚登録日 : 2019年3月11日

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