目次
・箱の中の欠落
・鏡には映らない
・連峰は晴れているか
・わたしたちの伝説の一冊
・長い休日
・いまさら翼といわれても
高校2年生。
将来を考え始め、過去を忘れるには早すぎる年ごろ。
奉太郎は優しい。
山で遭難した知人を心配しながらも教室の子どもたちを気遣う先生の心を、無神経に傷つけないようそっと気遣うことができるくらいに。(連峰は晴れているか)
その優しさがさりげなすぎて、時に誤解を生むことがあるくらいに。(鏡には映らない)
奉太郎が「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」ことをモットーにすることになったきっかけが明かされる。(長い休日)
人が良くて、頼まれたことは嫌な顔をしないで引き受ける少年だった奉太郎は、自分のその性格を、要領のいい人たちにバカにされ、付け込まれていたことを知る。
同級生に。先生に。
バカにされてもいい、付け込まれたくはない、と奉太郎少年は強く思ったのだ。
同じくビターでも、自分のマンガの才能を伸ばすために漫研をやめることにした摩耶花の話はちょっとうらやましい。
自分の才能を信じ、努力できる喜び。
分裂しようとする漫研を何とか円満にまとめようとしたけれど、それは摩耶花だけが努力するものではない。
のびのびと好きなマンガを描くことに専念できるのなら、それは何より。
そして千反田えるも転機を迎える。
彼女がバスに乗るのか乗らないのか、作品はそこまで書いてはいないけど、これはシリーズものなのだからリドルストーリーではなく、いつかどこかで結論が出るだろう。
できるなら、きっちり前を見て歩き出してほしいと思う。
しみじみ、青春から遠ざかってしまったことを感じるなあ。
- 感想投稿日 : 2018年11月21日
- 読了日 : 2018年11月21日
- 本棚登録日 : 2018年11月21日
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