精神病棟入院記 (LAZA COMICS)

  • まんだらけ (2017年8月1日発売)
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SF(サイエンスフィクション)。
ふと、思った。

SFが面白いのはなぜか?
それは、わたしたちの常識を1つ外した世界を描くから。
そこに意外性があってドラマが生まれるから。

ドラマは気持ちを動かす。
面白いと感じるだけでなく、辛さや、理解不能などもある。
それは何をどう外すかによる。



もし「地球外生命体」と遭遇したら?
もし「互いに人の心が読める(秘密不可能世界)」なら?

そこには面白さがあると思う。
けれど実際に起きたなら、恐ろしい、適応できない、
理解不能といった大問題も同時にもたらされる。

SFなら、意外性のネガティブからはいつでも逃れらる。
でも、それが現実だとすると...。



精神病というのは、曖昧模糊とした表現である。
まず、わたしたちは精神というものを熟知していない。
ここでの病は、共有幻想からはみ出た状態、つまり
現状の社会にあわせた生活が営めない状態のことだろう。

もし「世界にたった一人だけ、初対面の人の
靴の裏を舐めないと死ぬ人がいる」としたら?

当人は靴の裏など舐めたくはない。
周囲もそれを好ましいとは決して思わない。
ともすれば、それは強迫観念、あるいは嘘だと思うかもしれない。
公平世界仮説によって、当人の責めに帰すべきと責める人もいる。
精神病棟の人は優しくしてくれるが、それは病だからである。

自分が受け入れられる場所が見当たらない。
自分自信さえも、自分を受け入れられない。
どんなタフな人だってこれは死ぬほどキツい。



自分自身でも嫌い、世界の誰も喜ばない、
そんな世界のオンリーワンになったなら?
わたしたちはまだ、これに対応できていない。

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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年11月15日
読了日 : 2020年11月15日
本棚登録日 : 2020年11月15日

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