3時のアッコちゃん

著者 :
  • 双葉社 (2014年10月15日発売)
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「ランチのアッコちゃん」って、表紙からして何か可愛すぎと思っていたが、挑戦してみようと、「ランチのアッコちゃん」と「3時のアッコちゃん」を手に取った。

結論から知りたい性格なので、まずは、続編の「3時のアッコちゃん」から読み始める。

前巻を読まないと次巻に理解が繋がらないような連続したストーリー性がある作品の場合を除き、人気の出た物語の後にその続巻として出たようなものにおいては、後ろ巻から読んでいくのも、なかなか面白く、続巻あるいは順不同で読むことがある。

その場合、本文中に何の説明もなくそこに当然のように登場してくる人物や前置きのない状況など、たまに読み始めた私には状況を理解することが難しい場合もあるが、自分の中でその人物の性格などを自分流に積み上げて、前巻で説明されている状況も想像したりして、後に読む前巻で自分の理解やイメージを正しかったとか、イメージのズレがないかを確かめたりしていくこともでき、面白い。

ただし、きっと、これは作者の意図する読者への期待とは異なっているかもしれないと思っている。

さて、本作「3時のアッコちゃん」は、4つの短編からなる作品である。
「ランチのアッコちゃん」があるので、「おやつタイムのアッコちゃん」でもよさそうなものであるが、なぜ作者が『おやつの』ではなく『3時』としたのかは、この作品を読めば意図が理解できる。


第1話 『3時のアッコちゃん』
アッコさんこと黒川敦子さんと澤田三智子さん。
三智子のパートナーであり児童書専門の古本店「ハティフナット」の店主・笹山隆一郎より店番を頼まれていた時に、アッコさんが来店。
高潮物産で働く三智子は、派遣社員から契約社員になった。クリスマスシーズン発売されるシャンパンの販促活動の企画会議を進行しているがうまくいかない。そこでアッコさんが登場する!

第2話 『メトロのアッコちゃん』
アッコさんと会社員・榎本明海さん。
大卒後に有名フード企業のイタワグループに就職した明海だったが、デリバリーサービスのオペレーター部門に異動し、日々深夜までクレーム対応と上司からの叱責に疲弊していた。そんなある日、メトロのホームのスムージースタンドでアッコさんと出会う!

第3話 『シュシュと猪』
老舗の大企業でクッキー有名店の「ハルムスト」でデザイナーとして働く岸和田塔子が本社勤務となり、岡本に転居。ベティという名の猪との遭遇、格闘の中でわかった自分の性格。シュシュのお店の経営者・大島絵梨香、河村茉莉江、遠藤アミとの出会いが記されている。

第4話 『梅田駅アンダーワールド』
就職面談のために国立から、大阪梅田に乗り込んだ若林佐江であったが、梅田駅地下街の巨大迷路に迷い込み、面接時間に間に合わなかった。
梅田地下街での自分の悲劇が喜劇となっていたことに気づかされる。


本作のアッコさん登場の2作品(「ランチのアッコちゃん」と「メトロのアッコちゃん」)については、会社で働く人間にとって、周りの人間との接し方の基本を教えてくれる。うつ病が蔓延する現代社会において、人間関係であったり、仕事内容であったりと、職場環境の問題は大きな課題である。職場環境の改善は自らではなかなか改善できないかもしれないが、その環境を自分がどのように捉えて気持ちの中で処理していくかということで、改善できることを教えてくれる。
また、それには、食との繋がりもあるというのが、アッコさんの私見であると思う。

そして、後半2作品(「シュシュと猪」と「梅田駅アンダーワールド」)については、自分自身の心の持ち方を示唆してくれる。自分の物差しと自分以外の人が持つ物差しとは違う。自分が悩んでいることも他の人から見たらそうではないかもしれない。そんな現代社会を生きていく上での気持ちの持ち方、心のあり方のようなメッセージで、まさに、心においしい短編集であった。

気軽に読めるが、基本となる考え方、気づきが得られる本であった。

追伸: 私の中では『アッコちゃん』ではなく、その風貌の描写や態度、対応から『アッコさん』なのであるが、これは前作品を読むと、やっぱり『アッコちゃん』と思うのであろうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月17日
読了日 : 2020年8月17日
本棚登録日 : 2020年8月17日

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