「承認欲求」の呪縛 (新潮新書)

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 モチベーションは大きく分けて二種類ある。一つはお金やモノ、役職ポストなど、外から与えられる報酬によって引き出されるものであり、「外発的モチベーション」という。もう一つは仕事そのものが楽しいとか挑戦心をかき立てるとかいうように、仕事の内側からわいてくるものであり、「内発的モチベーション」と呼ばれる。

 名著『夜と霧』の著者であり、精神科医、哲学者でもあるV・E・フランクルは、人間存在の意味を追求する「ロゴセラピー」を説き、関連してこう述べている。「恐怖症と強迫神経症の病因が、少なくともその一部は、患者がそれから逃れようとしたり、それと戦おうとすることによって起こるふ不安や強迫観念の増大にあるという事実に基づいている」
 このような現象を「精神交互作用」と名付けたのが、「森田療法」で知られる医学者森田正馬である。森田によると、そもそも神経症の不安や葛藤は正常な人にも生じる心理状態であり、自分にとって不都合な弱点を取り除こうと努力するほど、その意に反して自分に不都合な神経症の症状を引き出してしまう。

 したがって「認知された期待」「自己効力感」「問題の重要性」を呪縛の三要素と呼ぶことができる。定式化すると、(認知された期待‐自己効力感)×問題の重要性=プレッシャーの大きさ、すなわち「承認欲求の呪縛」の強さである。

 それでは結論として、どこを、どのようにほめたらよいのか?
 その答えは、具体的な根拠を示しながら潜在能力をほめることである。潜在能力をほめることは、「やればできる」という自信をつける。すなわち自己効力感に直接働きかけることを意味する。すでに述べたように自己効力感が高まれば挑戦意欲がわく。かりに成果があがらなくても、潜在能力に自信があれば、成果があがらないのは努力の質か量に問題があるからだと受け止められる。そして、改善への努力を促すことができる。
 第一に、友人や顧客からの声など第三者の評価を伝えることによって、受け取る側からすると信憑性が高くなる。…
 第二に、何が賞賛に値するかをできるだけ文章にして具体的に示す。たとえば表彰する場合も、賞状には通り一遍の文言ではなく、理由を詳細に記述したほうがよい。またカードやスマートフォンのアプリを使って、ほめ言葉や感謝の言葉を伝える仕組みを取り入れている会社もある。口に出すのが照れくさい場合に使えるといったメリットもあるようだ。
 第三に、「昨年はできなかった○○が今年はできるようになった」というように、進歩の度合を客観的に理解できる指標を示す。他人と比較するより、過去の自分と比較するほうが成長の実感が得られやすい場合がある。
 第四に、ふだんはできないことがたまたまできたときなど、例外的な事象に注目する。とくにほめるところを見つけにくい場合に使える方法である。

レビュー投稿日
2019年4月26日
読了日
2019年4月26日
本棚登録日
2019年4月26日
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