火の鳥(角川文庫版・新装版) 望郷編 (6) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2018年8月24日発売)
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感想 : 7
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冒頭火の鳥の印象的なモノローグから本編は始まる。「私は…さまざまな星、さまざまな生きものたちを知っています/ でもただひとりの女が歴史をつくりその女といっしょに滅びていったエデン17という小さな星のことを私は忘れないでしょう」

 地球から誰ひとり住んでいない星、エデン17に逃亡してきたロミと丈二だったが、丈二は事故で死んでしまう。一人残されたエミは、この土地で子どもを産み、子孫を残すことを決意するのだが、いつまで経っても女の子が生まれない。そこに火の鳥が介入し、どんな厳しい環境でも生き延びることができ、しかも相手をよろこばせるためにどんな体形にも変身できる不思議な生き物ムーピーを妻としてエデン17に送り込む。こうしてエデン17は、地球人とムーピーの混血で人口も増え、発展していった。
そんな中、望郷の念に駆られていたロミは、ムーピーの子コムの助けを借りて地球へ旅立つのだった。そして苦難の旅の果て、途中で出会った宇宙連絡員牧村とともに何とか地球に帰り着いたのだが、その地球は大きく変貌していた。

 星の名前エデンに象徴されているように、本作のモチーフは旧約聖書の創世記だ。質素で原始的ではあるが住民が素朴に暮らしていた町エデナであったが、外から持ち込まれた刺激によりその生活があっという間に変貌してしまい、遂には滅んでしまう。
 一人の女性の一生と、一つの町の発展から崩壊までをシンクロさせながら描いていく豊かな物語性が本作の魅力。未来編にも登場していたムーピーであるが、本作に登場するコムはとても愛らしくて健気。その哀しい最期にはジンときてしまう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年12月21日
読了日 : 2024年12月16日
本棚登録日 : 2024年12月16日

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