小説の諸相 (中公文庫)

  • 中央公論新社 (2024年8月20日発売)
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 小説とは何だろうか。それを考えるために、著者は小説の主要な要素7つについて、具体の作品を例にしながら論じていく。その要素とは、ストーリー、登場人物、プロット、幻想、予言、パターンとリズム、以上の7つ。

〇 ストーリー
  ストーリーとは、「時間の進行に従って事件や出来事を語ったもの」と定義されるが、それからどうなるんだろう、という好奇心を読者に起こさせる。
〇 登場人物
  登場人物は、平面的人物と立体的人物に分けることができる。平面的人物は、ディケンズ作品に登場するような「あ、またあいつが出てきた」とすぐに分かるような類型的人物。これに対し、説得力をもって読者を驚かせることができるのが立体的人物。
〇 プロット
  事件や出来事の因果関係に重点を置いたものがプロットで、「王様が死に、そして悲しみのために王妃が死んだ」がその例。

というように、それぞれの要素について、実際の作品をベースにして具体的に説明がされており、また元々が大学の記念講座における講義であるので、とても読みやすい。著者の言わんとすることも良く理解できると思う。

 小説を読む楽しみ方を教えてくれる一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年8月20日
読了日 : 2024年8月18日
本棚登録日 : 2024年8月18日

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