茨木のり子集 言の葉 (3) (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (2010年10月1日発売)
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 先入観なしに一編一編をじっくり読むのもいいが、この「言の葉」のシリーズは、詩とエッセイで編まれていて、エッセイの中で著者自らが詩を書いた時の感情や考え方、感動や憤り、他者や自然とのコミットメントの有り様などがたっぷりと表わされている。

 特に本書では、韓国の訳詩も含め、韓国に関する言及が多い。著者は50代の頃から韓国語を習い始めたが、植民地支配の歴史に関する思いがおそらくあったに違いないだろう。

 また本書には山本安英さんへの追悼文が収められている。そして、1に収録されている「汲む」。
 そのひとは私の背のびを見すかしたように
 なにげない話に言いました  
 初々しさが大切なの
 人に対しても世の中に対しても
 人を人とも思わなくなったとき 
 堕落が始るのね 堕ちてゆくのを
 隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

 時期的にはその舞台を見るチャンスはあったのに。後悔。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月13日
読了日 : 2022年2月8日
本棚登録日 : 2022年2月6日

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