朝霧 (創元推理文庫)

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レビュー : 167
著者 :
AtoooooCさん  未設定  読み終わった 

『私と円紫さんシリーズ』の最終篇『朝霧』。大学2年生に始まった物語の主人公《私》は本作で社会人3年目の冬を迎える。《私》の延べ6年に及ぶビルドゥングスロマンは、「自分は『レクイエム』を隣り合って聴いたあの人のことを、尋ねずにはいられないだろう」という健気な独白で物語に幕を下ろす。このエンディングは、作中でも題材とされるリドルストーリー(起承転結の《結》を示さず、読者にゆだねる)の手法に他ならず、もう続編がないことを読者に暗示している。万葉集に収められた恋の歌「朝霧のおほに相見し人故に、命死ぬべく恋ひ渡るかも」に揺さぶられた、初デートの相手「お隣りの坊や」に似ているその人への気持ちを、《私》は成就されることができたのだろうか。

好きになるなら一流の人物を好きになりなさい。本当にいいものはね、やはり太陽の方を向いているんだと思うよ

音楽プレーヤーから流れてきた山下達郎の新曲「街物語」(「新参者」主題歌)が「朝霧」の世界とあまりにも調和したため読了までイヤホンでリピートし続けた。「物語は続いていく」のリフレイン、レトロな質感の街並みを想起させるメロディーも。

注釈
『空飛ぶ馬』《私》大学2年の5月から12月
『夜の蝉』《私》大学2年の3月から3年生の8月頃
『秋の花』《私》大学3年の10~11月
『六の宮の姫君』《私》大学4年の5~9月末頃
『朝霧』:《私》大学4年の12月~社会人3年目の12月

レビュー投稿日
2018年12月22日
読了日
2018年12月22日
本棚登録日
2018年12月22日
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