篠田節子『インドクリスタル 下』角川文庫。
大作ではあるが、不満の残る作品だった。インドの辺境の村で採掘される高品質天然水晶の謎がそういうことで良いのか、そういうことをエンターテイメント作品の材料にして良かったのだろうか。東日本大震災の被災者で、現在は福島県民となった自分としては疑問を感じた。
上巻までは不可思議系の冒険小説と思いながら、夢中になって読めたのだが、天然水晶の謎が判明したくだりで一気に冷めてしまったのだ。
良質の天然水晶を原料に高純度人工水晶開発に取り組む中小企業も方向転換、不思議な少女・ロサもアッサリと流行りのサイコパスで片付けられ、何とも無難な大団円。
読んでみる価値はあるが、大作を読んだ努力に対しての満足感は少ないと思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2018年2月1日
- 読了日 : 2018年2月1日
- 本棚登録日 : 2018年1月30日
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