福島第一原発事故の「真実」 検証編 (講談社文庫)

  • 講談社 (2024年2月15日発売)
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NHKメルトダウン取材班『福島第一原発事故の「真実」 検証編』講談社文庫。

2021年に刊行された単行本『福島第一原発事故の「真実」』をドキュメント編と検証編に分冊し、加筆修正、文庫化。

ドキュメント編に次いで、検証編である。

東日本大震災による津波により全交流電源の喪失したことから福島第一原発は1号機、3号機、2号機が次々とメルトダウンを起こし、1号機、3号機、4号機が相次いで水素爆発を起こした。

この大事故により東日本一体は少なからず放射能に汚染される。冷却機能を失った原子炉の暴走を食い止めたのは皮肉にも消防車による注水の失敗や原子炉格納容器の継目からの水素の漏洩といった偶然が重なったことだった。

最初に1号機の冷却装置であるイソコンの問題である。イソコンに関する知識不足、稼働以来40年間も試験稼働を行っていないことなど様々な問題が指摘される。

第2の問題はベントの遅れである。メルトダウンし、上昇し続ける原子炉内の圧力を低下させるために実施すべきベントがその構造と上昇した放射線の影響で遅れる。

第3の問題は1号機への消防車からの注水がほぼゼロだったことである。水が外部から原子炉に向かうルートに抜け道があるために注水は原子炉に届いてなかったのだ。こうした構造を所員たちが理解していなかったことが一番の問題である。

第4の問題は津波への備えが不十分であったことだ。『想定外』を免罪符のようにかざし、過去の津波被害を無視し、責任を逃れようとしている。

第5の問題は複雑な機構の減圧装置がなかなか機能しなかったことだ。手動と電動の複合起動による減圧装置が稼働しているのか否か解らないというのもおかしい。

これだけの人為的なミスによる大事故を起こしておきながら、損害賠償や廃炉作業に莫大な税金が投入され、電気料金への上乗せまで行いながら、東京電力が普通に生き残っていることに納得がいかない。そもそも関東へ電力を供給する危険な発電所が東北にあるというのがおかしい。

定価1,815円
★★★★★

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本
感想投稿日 : 2024年2月24日
読了日 : 2024年2月24日
本棚登録日 : 2024年2月22日

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