上野アンダーグラウンド (新潮文庫)

  • 新潮社 (2024年3月28日発売)
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本棚登録 : 186
感想 : 10
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本橋信宏『上野アンダーグラウンド』新潮文庫。

様々な路線が集まる上野。かつては北からの玄関口と言われた上野にスポットを当てたディープ・ルポルタージュ。上野の歴史、風俗店や男色の実態、江戸川乱歩や三島由紀夫などの文豪と上野の関わり、アメ横、外国人、上野を舞台にした事件などまさにディープなルポルタージュになっている。

大東京と言うだけでディープなイメージがあるが、上野近辺はさらにディープでカオスなイメージがある。上野公園や上野駅周辺で初めて浮浪者の姿を見た時には驚いた。自分が長年住む東北地方には浮浪者は居ない。たまに変わり者の浮浪者を見掛けるが、東北で寒い冬を過ごすには無理があるようだ。

自分が最初に上野に行ったのは今から43年前のこと。当時は東北新幹線など無く、列車で8時間以上掛けて移動した。冬の2月、第1志望の国立大学の滑り止めで、1週間の間に4校の私大を受験するために上京したのだ。この時は上野を通過しただけだった。

その後、東北新幹線が大宮まで暫定開業した後の大学時代に東京で予備校生活を送っていた友人の所に行ったことがある。この時も上野は通過点に過ぎなかった。

上野を本格的に知るようになったのは社会人になって出張するようになってからだ。アメ横の中田商店でミリタリーグッズを購入したり、丸井の何階だかに入っていたパステルに土産にと、なめらかプリンを買いに行ったり、今は無き聚楽台で新幹線の出発時間まで酒を飲んだりと上野は楽しめる場所だった。

それでも、上野をはじめとする大東京は未だに恐い。

本体価格900円
★★★★

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本
感想投稿日 : 2024年3月30日
読了日 : 2024年3月30日
本棚登録日 : 2024年3月29日

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