東北地方を舞台に親子とは何か、大人の男になることの難しさを考えさせられるなかなか面白いロード小説。
バイクでツーリング中の岩山は青森でワケありの歯科大生・斗児を拾う。しかし、斗児を執拗につけ狙う龍野兄弟の出現に岩山と斗児は東京駅を目指し…
物語には東北自動車道の馴染みのあるPAやICが登場するが、いずれもかなり正解に描かれているのに驚いた。また、前半の主要舞台になる栗原市のくりこま高原駅の周辺も克明に描かれており、実際に作者が取材に足を運んだのだろう。
山田深夜さんの作品との最初の出会いは『千マイルブルース』で、これがまた非常に面白く、『電車屋赤城』も続けて読んだ。この作品は『千マイルブルース』と『電車屋赤城』の系譜の作品であるようだ。
この作品にも赤城という名のトラッカーが登場するが、作者の遊び心なのだろうか。
作者のあとがきを読むと、この作品が最初に単行本で出た三週間後に東日本大震災があり、この作品に登場する東北の街も大きな被害を受けたとのこと。そのため、作者がこの作品に寄せる想いもひときわ強くなったようだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2013年7月6日
- 読了日 : 2013年7月6日
- 本棚登録日 : 2013年7月5日
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