石川渓月『法外捜査』双葉文庫。
2ヶ月連続刊行のシリーズ物の第1弾。
これまでの石川渓月の作品にはハードボイルド小説が2作ほどあったが、それらとも全く違う作風の勧善懲悪アクション小説であった。例えるなら矢月秀作の『D1シリーズ』っぽいだろうか。
ストーリーはそれなりに面白く、登場人物が警察や自衛隊を辞めた理由や過去が少しずつ明かされる辺りはなかなか読ませてくれる。しかし、本作の最大の山場である傭兵と半グレ、ヤクザが入り乱れるアクションシーンは欲張り過ぎのようにも思う。
そして予想通り、物語の結末は次巻以降に持ち越される。果たして次巻で完結するのか、はたまたまだまだ続くのか。
元警視庁キャリアの来栖修が設立した表向きはコンサルタント会社で、その裏では政財界の不祥事の後始末を請負う『秀和』。警視庁の現役幹部も設立に関わっているという『秀和』の社員は皆、訳あって警察や自衛隊を退職した者ばかりだった。
『秀和』の社員は所長の来栖以下、元警視庁捜査一課刑事の滝沢征司、元陸上自衛隊特殊任務部隊員の霧島冴香、元交番勤務の警察官でホワイトハッカーの矢沢翔太、元公安警察官で空手の使い手の沼田信三という5人のメンバーだった。
ある日、新宿駅東口で無差別殺人かテロと思われる爆破事件が発生した。警視庁捜査一課との特別合同捜査本部が設けられるが、捜査の主導権争いと相次ぐ極秘情報のリークで、本部は機能不全に陥っていた。来栖は、古巣である警察庁から呼び出され、警察とは違うやり方で犯人を探るように命じられる。
元捜査一課の刑事の滝沢は冴香が入手した3人の日本人傭兵が爆破事件に関連しているという情報から、その背後に『スサノウ』と呼ばれる謎の組織の存在を嗅ぎ付ける。
本体価格700円
★★★★
- 感想投稿日 : 2024年4月16日
- 読了日 : 2024年4月16日
- 本棚登録日 : 2024年4月15日
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