『坊っちゃん』の時代 (第5部) (双葉文庫)

  • 双葉社 (2003年2月10日発売)
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感想 : 17
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関川夏央、谷口ジロー『『坊っちゃん』の時代 第五部 不機嫌亭漱石』双葉文庫。

再読。単行本も持っており、既読ではあるのだが、先日たまたま立ち寄った古本屋で5巻揃いの文庫版の美本を目にし、少し迷いながら購入した。

関川夏央と谷口ジローの名コンビによる大傑作漫画である。全5巻の完成までに12年の歳月を費やしたというからには大変な労作である。

第五部は再び夏目漱石が主人公である。胃痛と頭痛で冒頭から不機嫌全開の夏目漱石。胃痛で不調の漱石は転地療養のため伊豆に滞在するが、ついに大喀血し、生死の境目をさ迷う。意識の無い中で見る夢の中に森鴎外、石川啄木、正岡子規、樋口一葉、二葉亭四迷、ラフカディオ・ハーン、そして猫が去来する。

大逆事件の判決を受けて、幸徳秋水、管野須賀子らが死刑となり、石川啄木も貧困と病の果てに命を落とす。辛うじて死を免れた夏目漱石にも余り時間は残されていなかった。それでも容赦なく時代は巡るのだ。

『坊っちゃん』が哀しい小説という認識を持ち、改めてこのシリーズを全て読み返してみると関川夏央と谷口ジローが明治という時代に抗えなかった敗者を描いていたことが見えてくる。

しかし、何時の時代にも敗者は居るが、果たして決定的な勝者は居たのだろうか。我々は時代に翻弄されながら様々な苦難に抗い、生を全うしようと努力し続けている。端から見れば、もがき続ける憐れな敗者に映るのかも知れないが、我々は自身を勝者であると信じているのだ。

本体価格619円(古本470円)
★★★★★

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2021年10月7日
読了日 : 2021年10月7日
本棚登録日 : 2021年10月7日

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